パン屋のある四つ角に
いつも立っている女がいる
「3000円でマッサージいかがですか」
と決まったセリフをいう
通り過ぎるたび
お金のないふりする
しばらく行ってふりかえると女は
新聞を広げている
ある酔いの深まった夜
その女の誘いにのってみた
ビルの一角の個室に通され
3000円を払った
違う女が現れ
半裸にされ
馬乗りになり
指で私の体を押し始めた
期待していた現実を引き入れるには
5倍の現金が必要だった
持ち合わせはなかった
私は店の便所で吐いた
パン屋のある四つ角に
いつもの女は立っている
しばらくの間、通り過ぎても
女は何も言わなかった
0 件のコメント:
コメントを投稿