2015年3月28日土曜日

2015年3月11日23時58分


20153112358

仕事帰りの電車の中で僕はつづり始める

多くの人が死んだ日

祈りがあふれて悲しみがあふれているというのに

のんびりとお茶を飲んで電気で走る電車の中に僕はいる

僕は神でもないし万能でもないから

この悲しみをぬぐうこともできなければ

死んだ人を生き返らせることもできない

ゲームの世界ではそういう呪文を唱えればいい

人は生き返り

リセットを押せばすべてやり直すことができる

だけど現実はそうはいかない

僕はこの文字をつづりながら

そんな都合のよいことが起こりはしないかと

ばかげたことを考え始めている

そんな万能な言葉がどこかにあるかもしれないと

探し続けようとこれをつづっている

もやが僕の心を覆っている

人類というものに

これだけの争いを繰り返しながら

さらに争いを起こそうとする人類に僕は

絶望してしまうのだ

僕はまだ生きている

この絶望を乗り越える手段を探している

発言が現れるたびその無力さが示され絶望してゆく

人は別れる 人は死んでゆく 人は去ってゆく

悲しみを埋めるために無常を知るべきなのか

かかわるものに執着を持たずに生きてゆくうつつの

無常・・・忘却・・・

逆らわず天に即すこと

天が滅びを望むのなら

人はそこに従うのか・・・

このもやをどうしたらよいのだ

なにがもやをかける

よこしまな心の僕にいったい何ができるというのか

明日へ向かい

次の時へむかう未来

進んでゆく
 
手遅れな過去をひきつれて

ぼくらはわけのわからないあしたへ向かっていく

呼吸をするのもおぞましいくらいに

絶望が戯れる世界をいまぼくらは

つくろうとしている

自分と戦うことをやめた人間が

敵を作り攻撃しはじめる

BARのマスターは言った

どこかで見聞きした言葉ではなく

ぼくはぼくに問い詰めて

言葉を拾わなくてはならないのだ

僕は僕に問い詰めて

僕はなにをする

ぼくはぼくを吐き出す

僕は僕をさばく

そしてぼくはぼくを許す

ぼくは僕をいきる

 

 

2015年3月9日月曜日

羊の花

ひつじを追いかけて
青空 草原 夢の国
もくもくと立ちのぼる幻想の果てに
汚れた大地が広がり続ける

寒いなら毛をあげるから
上着をこしらえてしのぎなよ
飢えたなら上着を売って
パンをもらえばいいさ

海岸沿いの草原に潮風が吹いて
羊の毛がたんぽぽみたいに舞っていく
夢の国では
羊の毛から花が咲く

黄色い花をつんで
ひとつだけつんで
昨日と明日に
お供えするんだ

季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす