2009年11月24日火曜日

種なしぶどう

種なしぶどうは
花の咲く前薬につけます
実が大きくならないので
実ができてすぐ薬につけます
種のない大きな種なしぶどうが出来ます

ぶどうを食べたとき
種を取るわずらわしさがありません
種をのどに詰まらせたり
飲み込んで胃から
ぶどうの木が生えたらどうしよう
という不安がありません

甘くて食べやすい種なしぶどう
いかがですか?

浦和美園

南北線の
終わりの先の終着駅
なんにもなくて
とてもつらいとある人は言う

行き着いた先に
なんにもないこともある
行くまでも
なんにもみえない
でも一度行ったら忘れられないとある人は言う

なんにもないがあるところ
いつか僕が溢れたら
片道800円で
取り替えに行ってみよう

2009年11月19日木曜日

次は

何かが失われたことすら
気づかない

あったことすら失われる
次は何だ

パチパチパチ

人を殺すことを商売にしたやつがいる
神に祭りあげられて命をちらしていった人がいる
パチ
パチ
パチ

パチ
パチ
パチ

2009年11月14日土曜日

始まりの詩

僕が生まれたときもそうだし
自我に目覚めたときもそうだし
世界はすでにあり
問題は僕が世界に
どう包括(つつまれ くるまれ)ているか
ということでどうやら
もれてはいないことがわかった
僕は世界の中で何をしたらいいか考えた
叫んでもよいのだと思った
オー
アー
オー

結婚した友人へ

姿と言葉に鋼を通し
伴侶と共に
幸せのあり方を示す君の目に
縛られぬ輝くまなざしみつけ
雪の大地
あつく思えた

なっとう

のびる糸
たぐりよせて
あらわれたまめ
ふれると糸があふれる

2009年11月13日金曜日

とある老人へ捧ぐ

昔青年だった老人は
路地裏の小さな店に通い
止められながらも杯を傾け
共に過ごした歌を詠う

思い出は語らずとも
しわの間より風景がにじみ
若人の歩む道へ迷わぬようにと
標をたてる

街は静まり老人は
月明かり伸びゆく黄金の道を
自慢の帽子をかぶりなおし
軽快に去った

季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす