2009年6月28日日曜日

リング

見知らぬ町へやってきて
見知らぬルールを踏み外し
手首に銀のリングをはめられて
再び見知らぬところへ連れられてゆく
さよならもいわず
僕はただ友のことを思った

2009年6月26日金曜日

三行詩

旅路恋路
ふみ出さねば
始まらぬ



地下鉄を
素敵なお尻が
泳いで行く



欲しいものが
わかっていたら
人生はもう少し簡単

2009年6月19日金曜日

落葉

我らの吸い込む酸素を吐き出した葉っぱらは 
風が吹いて地に落ちた 
大地に落ちればひそやかな虫らの餌となり 
新たに生まれる若葉の床となる 
しかし我ら人間が地球をコンクリートで塗りつめて 
落ち葉をゴミにしてしまう 
クリーンな世界とは命育たぬ世界 
クリーンな世界とは命めぐらぬ世界 
落ち葉を大地へ戻せ 
骨を海へ返せ 
命を空へ放て 
さもなくばいつしか風が吹き 
我らは命の輪より吐き出され 
孤独の砂漠へ迷い込む

2009年6月14日日曜日

君の来る日

君の来る日を待ちながら
小さい店の看板を出す
いつか行くよと君が言ったから
眠くても雨でも店を開ける

あと
5分………10分……半日…1日、1年・10年ずっとずっと!
でもやっぱり君は来ない

いつかした約束が
いつしか果たされる
僕はそんな日を待っているけど
僕はそんな日が来なくていいと思ってる

新しい約束を交わすには
僕らは大人になりすぎて
新しい約束を守るには
僕らは離れすぎてしまったから

明日は予告なしに訪れて
昨日はさよならなしにくくられて行く

2009年6月10日水曜日

逃走

食べるのでなく
眺めるために
世界の果てまで出かけていって
ガラスの家に放り込まれた生き物たち

張本人の人類は
地球は狭いからというけれど
ほんとは生きる延びるために
宇宙へと逃げ込む

餌を与え自由を奪った
生き物たちの反乱を恐れて

自由を与えて永遠を奪った神が
本の中へ逃げ込んだように

季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす