2008年12月30日火曜日

深夜

あなたに連絡しないと
心に決めた勝手な決意は
生きることを窮屈にする

届かぬあなたへ
勝手な愛の言葉を告げる
僕はどんなに滑稽だったか

飲みつかれて眠るあなたの横顔を
見つめることもできず眺めるだけ
月が僕を見ていた

雨男

僕は雨男になってから
どこへ行っても雨が降り
以来青空が恋しく思う

2008年12月26日金曜日

輪廻

明日生きられぬ所へは
生まれたくはない

明日自由のない所へは
生まれたくはない

明日笑えぬ所へは
生まれたくはない

輪廻というものがあるならば
そういう不安のなきとこへ

ただあなたに会えぬのならば
どこへも生まれたくはない

2008年12月20日土曜日

飛魚~PBフィジーにて~

夕凪そよぐ椰子の葉に
耳をすませば笑い声
今日という日が
さよなら言うのを
かき消すように
みな海へ帰る飛魚

2008年12月19日金曜日

花を贈ろう


花を贈ろう
大切なあなたへ
大切な日に

花を贈ろう
細く冷たかった
指先にふれ
やさしく繋いだ
あの日の恥ずかしい親しみに

花を贈ろう
大切なあなたへ
大切な日に

PC


どんなに遠くの街にいても
どんなに近くにいても
愛してさえいれば同じだと
PCに向かう君は言う

PCから君の気持ちが
どこかへ流れていかないようにと
体だけでも繋ぎとめようと
僕は君を抱きしめた

2008年12月18日木曜日

おはよう


朝、息が白い
昨夜の雨のせいか
畑から湯気がたっている
大地も呼吸してる
おはようって

冬雲



冬空に浮かぶ雲
夕日に押されて
夜へと漂う

2008年12月17日水曜日

命の道で

思うすべてのことを
言葉にすることの果てしなさ
感じるすべてのことを
伝えようとすることのいやらしさ

あなたの前で膨らみ続ける
あまりに速すぎて捕らえきれない
無数の言葉と感情は
時のかなたへと去ってゆく

光なのか
雨なのか
木々の梢か
土の薫りか

あなたの巡る命の道で
そんなふうに添えたなら
かなたへ消えた心の波が
そんなふうに添えたらいい

2008年12月16日火曜日

真面目な話

広さに比べれば
悲しみなど
笑い話にすぎない

肌にくらべれば
アルコールなど
ジョークにすぎない

2008年12月15日月曜日

朧月夜

打ち寄せる波は
朧月に照らされた
白浜にすいこまれ

吹き抜ける潮風は
朧月に照らされた
白浜を駆ける

辿りついた僕たちは
朧月に照らされて
白浜に舞う

流れ行く青春は
朧月に照らされて
白浜の砂となる

2008年12月12日金曜日

笑顔

あなたと一緒にいられる時は
これで最後かもしれないと
時計の針の進むのがつらくなる

こんなにも心をひらいて笑うのは
僕がいるからじゃない
あなたの好きな人がそばにいるから

僕はそれだっていい
あなたの笑う顔を見ていられるのなら
それだけでうれしい

2008年12月11日木曜日

コーヒーカップ

男と女の飲み残した
コーヒーカップ
ランプの灯火に照らされて
影が伸びている

男と女はどこかへいった
コーヒーカップを残して
どこかへ行った
影が伸びている

2008年12月9日火曜日

フィルム

フィルムに焼き付けられたイメージは
光に照らされ鮮明となり
リールが回り出す時
感情となる
動力は

2008年12月8日月曜日

銀杏並木

踏み出す怖さをさらして
つないだ手はぬくもり
見えない道なら寄り添うたびに
一つ一つ敷き詰めればいい
ふたりでそのぬくもりを
銀杏並木の落ち葉のように

2008年12月5日金曜日

ひとり

人を好きになったら
ひとりになった

足音

足音が聞こえる
近づいてきて
立ち止まって
うろうろして
去っていく

足音が聞こえる
怪我したかな
ずるずるいってる
少し佇んで
去っていく

足音が聞こえる
これは君だ
ハイヒールが慣れない
ほら、つまずいた
足音がふえて

さみしさが去っていく

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2008年12月4日木曜日

もやし

もやし
食べる?

もやし
入れる?

もやし
好き?

もやし
味ある?

もやし
炒めは400円かな?

やっぱり
もやしだよね

世界は
もやしだよね。

2008年12月2日火曜日

文字

見慣れた文字の先に
あなたがいるということ

それだけでどうして
こんなにも文字が愛おしいのだろう

星や宝石はその一文字に遠く及ばない

詩篇1-10

1、自由

さて
私は生まれた
自由だ

どこへゆく
なにをする
自由だ

永遠に
命と共にある
自由だ

2、花

それは咲く
私と同じように
あるいは花と同じように

繋ぐため
撒くため
それは咲く

今までと同じように
あるいはそれからと同じように
ここで

3、風

飛ばし
運び
かき消し
揺らす

想いと
命と
叫びと
心を

ふわり
ふんわり
びゅんびゅん
さわさわと

果てから果て
始まりから始まりまで

ふわり
ふんわり
びゅんびゅん
さわさわと

4、音

消えてゆく音は
心の中で反響し
繰り返し繰り返される

何年経とうが
変わらずよみがえる音は
すでに聴くものの一部となる

思い出とはつまり音よりはじまる

5、光

包まれることは
忘れてしまうこと
離れてなくなろうとも
思い出すのだ

なつかしく
そのあたたかさと明るさに
似たものを求めて生きている
だが

記憶の中よりは
どこにも見つけられない
それが光
ほんとうの光

6、影

あることで生まれくるのだが
みつめられることなく
もとめられることなくある
闇ではない

あることは影をたどることで
たしかめられる
なくするには
影にいればよい
耐えられぬなら
影にいればよい

なにか大きな影に
身を潜めることより
あることのさみしさや
あることの恐怖より耐え逃れられる

だが影よりは逃れられない

7、時間

なにに干渉されることなきように
決意したひとつの命であるかのように
無関心にすべてに入り込み
覆し推し進める

ああ

友となれたらいいのに

でも

君はいつでも憎しみの対象

ごめんね

たぶん大切にしないから

8、言葉

離れていくことはしっている
終わらせてしまうことはしている
言葉にしないほうがいいのに
今度こそは
掴んで離れず終わらない言葉が
見つかるかもしれないと

愚かにも
発してしまう
愚かにも

9、愛

これで生きて
これで死ぬ

10、存在

触れて確かめていくことでしかわからない
確かなものに触れて
なんとすべてはうつろいやすいものなのかとわかる
そのうつろいのうちにあるひとつの自由で確かな力
それこそが存在であること
確かな存在であること

私は言いたい

雪が降る 柔らかに雪が降る 昼も夜もこの街に 雪が降る 足跡が道についている 誰かが歩いた跡 私も歩く 雪の中を 優しい雪の中を