poem on chair
2012年10月31日水曜日
はしりがき
一度目は忘れた
二度目は会社の前で
三度逃せばあなたは遠き人となる.
ゆえに愛を告げよう.
あなたが遠き人となる前にー
2012年10月30日火曜日
満月の夜に
河を小舟がゆく
乗り混んでいる男の髪は
月明かりで金色
電話をかけている
手元に聖餐と書き付けながら
窓から鳩がゆく
座り込んでいるの女の髪は
腰までの黒髪
電話をかけている
口元に微笑をたたえながら
満月の夜の話
満月の夢の話
2012年10月29日月曜日
質草
質屋に土産を入れる
質屋に楽器を入れる
質屋にカメラを入れる
質屋にパソコンを入れる
質屋に服を入れる
質屋に時計を入れる
質屋に本を入れる
質屋に心を入れる
質屋に血を入れる
質屋に殻の身体を入れる
プライスレス
欲しいのは金
金を得る為の金
愛を繋ぎとめる為の金
友情を繋ぎとめる為の金
自分の存在を確かめる為の金
この世のすべては質草の種
今日も地球に根を張り
宙へ伸びる
2012年10月28日日曜日
僕は37さい
この世には37年いる
あの世はわからない
この世も変わりすぎてわからない
近くにいる人
たとえばとなりで話している中国人
名前も言ってることもわからない
どうしてとなりにいるのかもわからない
親、兄弟、親友、恋人
ほんとは何考えているのかよくわからない
自分も何者なのか
何考えているのか
何のためにあるのか
よくわからない
よくわからないから
目の前にあらわれること
心にあわられること
よく見て
よく聞いて
よく嗅いで
よく食べて
よく触って
生きる
2012年10月27日土曜日
つづる
きみに届けるためにつづるんだよ
きみに伝えるためにつづるんだよ
きみに憶えていてほしいからつづるんだよ
きみに気付いてほしいからつづるんだよ
きみに近よりたくてつづるけど
つづるたびに遠くなるんだよ
つづりたいのは 愛してるということ
つづりたいのは きみといたいということ
つづりたいのは きみのためにつづりつづけたいということ
つづりたいのは きみとつづりつづけたいということ
2012年10月26日金曜日
マッチ
安全なところから取り出して
君とする火遊び
2012年10月25日木曜日
明日の女
夢うつつの365ペイジを廻り
あなたを世界がみつけ
あなたで世界をみつけた
今日がまた辿る
金の輪の音の満ちる
とどまる地下室のエデン
銀の輪の色の届ける
ぬくもり抱くミューズ
音でしたら あなたが音であるように
色でしたら あなたが色であるように
香りでしたら あなたが香りであるように
世界でしたら あなたが世界であるように
せめて日付でしたら 巡る明日
美しいあなたへ 触れていられる
2012年10月24日水曜日
あさがお
五月に蒔いて
八月に咲く
葉っぱは
ふさふさ
触ると
じゃかじゃか
2012年10月23日火曜日
見る見られる
見ている側と
見られている側が
わかっているのならいい
見ていることを
見られている側が
わからずにいるとき
見ている側が
わかられないようにと
見とれているとき
見られている側は
見られていることを
わかっている
見ている側は
見られていることを
あるいは
見られようとしていることを
知らない
2012年10月22日月曜日
塹壕~硫黄島から~
蒸しかえる
暑さの中で
息をひそめて
心臓さえも
求めて過ごした
兵士たちの
仮であり
終のすみか
2012年10月21日日曜日
枕
でこぼこみちの先の
ぼさぼさ森におちている枝
ごりごりかた幅にきって
びじびし縄でしばりあげ
木陰にほっておく
ある日旅人が
ひと休みするとき
それを見つけて
枕にするのだ
故郷を思い出して
2012年10月20日土曜日
腕時計
古ぼけた腕時計
何処かの街で
まだ動いているだろうか
「餞別に」とねだった
君の華奢な手首で
まだ動いているだろうか
2人の間に流れる
暖かさがくすぐったくて
それ以上近づけなかった
映画の中の腕時計
巻き戻せば何度でも
動き出していた
古ぼけた腕時計
取り戻せない時間には
まだ動いているだろうか
2012年10月19日金曜日
虚言
詩人ですら虚言を使う
政治家が虚言を言うのを
誰がとめられよう
唯一の核被爆国の政治家が
核爆弾の非合法化の提案に
否!
と言うのを
誰が止められよう
2012年10月18日木曜日
黄色
黄色いバラ
あと数日たてば枯れてしまう
ドライフラワーにしても
はじめの黄色は
どこかへいってしまう
はじめて会った日
窓から光がこぼれて
黄色い部屋
公園からの風が吹いて
どこかへいってしまう
詩に記しても
絵に描いても
あの日のあの色
はじめの黄色は
どこかへいってしまう
この場所も
ぼくもあなたも
どこかへいってしまう
いろかたちを変えて
どこかへいってしまう
黄色い線をのこして
2012年10月17日水曜日
Truth
Your beauty gives me death.
2012年10月16日火曜日
尾道蜃気楼
潮の薫り路地に流れて
空と海に白羽根歩いて
半眼の仏像が営み覗く港町
都会の窓にも尾道蜃気楼
2012年10月15日月曜日
緩やかに時の流れるところ
鉄のハシゴ靴脱いで昇れば
そこはのんびり天国
オルガンパイプがギコギコ響く
鉄の鳩が羽ばたいて
そこはメキシコの海
柱時計がコチコチ響いてる
禁断の林檎剥いて
森の影にかけてゆく
オルガンパイプがギコギコ響いてる
柱時計がコチコチ響いてる
2012年10月14日日曜日
尾道猫
夕暮れの
尾道の坂
猫寝てた
2012年10月13日土曜日
海峡浪漫号
じい様たちが3交代で運転する
広島行きの夜行バス
夜の街 夢の中 ひた走る
四列シート 紫のカーテン
寝息こぼれて天井に行き交う流星
休み休み 朝陽目指し ひた走る
何かが屋根をノックする
海峡浪漫号
ほんとは どこへ向かってる
海峡浪漫号
僕らを どこへ連れてゆく
どこでもいいさ 乗り込んだのだから
海峡浪漫号
ほんとの ところへ向かえばいい
海峡浪漫号
僕らを どこでも連れてゆけ
2012年10月12日金曜日
詩作所作
手で書かなくてはいけません
コピー&ペーストではいけません
指で記してはじめて自分の中から出てくるのです
長く書く必要はありません
うまく書く必要はありません
出てくる言葉をしっかり書けばよいのです
つまるつまらないは一番の問題ではない
ことばのつぎはぎで食いつなぐのは
プロに任せればいいのです
僕はそこをめざしていない
詩はそれを望んでない
2012年10月11日木曜日
幼子と君
そっけない君が
すべてに無関心のような君が
いつも強引に決めている君が
孤独を愛しているかのような君が
どうだろう
幼子に瞳を向けられた時の
幾千から選ばれた言葉
柳のようなやさしい声
羽毛で包むような身のこなし
そして
若葉を育む朝日のようなまなざし
幼子と君に僕は近づくことはできない
眺めているだけで
私の心には命の泉が溢れている
こうして記すだけ
幼子と君に僕は近づくことはできない
2012年10月10日水曜日
ばら
はなびら
いちまいの
いろや
かたちや
においや
やさらかさに
うっとり
2012年10月9日火曜日
夢の中でさえ
胃に穴が開きそうな現実
穴に薬を詰め込んで
アルコールで消毒
とぎれとぎれ見る夢は
カリブの透明な海
肌の白い美しいあの人が
私のそれをくわえて
なぐさめる
なのに夢にまで
現実が押し寄せて
過去をひきずり
別れを告げている
自由でいられることを
気が付かない
自由でいられることを
夢の中でさえ気が付かない
2012年10月8日月曜日
詩神
詩神のいない詩人は未熟
見つけたがおそれて
詩神へ近づかないものは
詩人ですらない
2012年10月7日日曜日
見る見られる
見ている側が
わかられないようにと
見とれているとき
見られている側は
見られていることを
わかっている
見ている側は
見られていることを
見られている側は
見られようとしていることを
わかっているのならいい
2012年10月6日土曜日
48
ふとももさらして
筋書き通りの
言葉と笑顔ふりまいては
枯れてゆくカナリア
神話のひと文字塗り替えて
肥えてゆく欲望
地獄の糸におたまじゃくしが並び
無限の旋律が響いている
2012年10月5日金曜日
その女
その女からは
憎しみゆえに人が去り
愛するがゆえに人が去り
女はそれに気付かない
2012年10月4日木曜日
まどろみ
目覚めたとき
そこは不在
あるのは私
私の中にすべてが内包している、その
目覚めと眠りの
まどろみの中でまどろみを
記している
目覚めたとき
私の中に内包するすべては
流れ出し世界が在りはじめる
そして私は不在する
2012年10月3日水曜日
腐臭
湧き上がることばの
降り注ぐことばの
吹きすさぶことばの
あまりにも傍若無人さ
ひどくにおうことば
聞きたくないことば
出れば傷つけることば
詩でくるんで切り離している
大切なことば
わすれたくないことば
本当のことば
詩でつつんで流している
ときに詩が裂けて
腐臭がただよう
ごめんなさい
そのうち消えます
2012年10月2日火曜日
人には人に
人には言えないことがある
人に言えないことがある
2012年10月1日月曜日
信仰
信仰とは余白
鳥がいく
充実し切っている
存在の移動
文字 象徴
生むのは不在
創造は
不在領域の拡大
不在により
存在をたしかめ
余白により
人は象徴を信じる
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季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす
傘
雨が降ると天気予報で聞いた 傘を持って出かけた でも、雨はぼくが屋根の下にいる間に降って だから、ぼくは濡れた路上の上を傘を持って歩いた ビルの間から木漏れ日みたいに陽が差して ぼくの世界はまっ白になったんだ それで、ぼくは持っていた傘を開いて 歩いたんだ ...
(タイトルなし)
遠くでカナリアがなく 叫ぶのか呼ぶのか 誰を誰かを 流れてくる言の葉と 空気と あなたの記憶 ああ、 私は 立ちたい 私は 立って歩きたい