2015年8月29日土曜日

ブライアントパーク

無数の緑の椅子
人があふれても
絶対的
上回る緑の椅子

この椅子 誰が前に 座ったろう
この椅子 誰がこれから 座るだろう

椅子も知らない
緑も知らない
無数も知らない

無数の緑の
椅子
永遠
近くあるだけ

2015年8月24日月曜日

永遠の砂浜

カラス貝のかけらが
砂浜に散らばり
波の記憶を置いてゆく

カモメが夕暮れを待ちながら
パラソルの間をすり抜ける

ベンチの老夫婦は
犬とたわむれながら
孫のはしゃぐのをみつめている

ここは永遠のとどまる砂浜

足からこぼれる
せせらぎが
街のほうへも飛んでゆく

2015年8月22日土曜日

ポラロイド

ことばから
遠く離れて
土を拾う

砕かれた骨は
宙を舞って
春が来る

手紙が届く
知りたかったのは
愛の深さ

音楽だけが
時の過ぎるのを
教えてくれる

またあの季節に
僕らは会えるだろうか

チップス

会わなければここへ来ることはなかった
BUSの行きかう大通りと
ガソリンスタンドの交差点

西日がタバスコの瓶を通過して
影を作り
とどまるビーンズの種が
吐き出される過去を懐かしがる

夏の陽射しの中で
BEARを飲んで
とどまるのだ

ストアがありましたね
四つ角に
ここは
車通りが多いですね

追いかけているわけではないのですが
つまりは夏の陽射しがそうさせているのです

橋を渡り銀の足跡がいるわけを
すぐにはわかりはしないのです

そこに何があったかは
いるべき場所にいる

そのさきに何が
いや、もうすでにー

チップス

欲しい

夢のような日々のあとに
便りのあったのを伝えてくれた

どこにいようと
持ち続けている面影

反射する光が
太陽のあるのを教えてくれる
石畳の熱を忘れずにいる
アスファルトが白線を飛び越えてゆく

白いシーツの
あなたの香りにつつまれて
今夜も眠る

夜空にはまあるいお月様
円形劇場のハムレット
トーストに乗っけてがぶり

耳元で忘れなさいと
ささやく女優が
明日も手を差し出している

はさんだペンのように
ベルギーワッフルタワーがそびえる
ハローグッバイ

石の中にあるまぼろしを
掘り出したくて
こするのだ

椅子は5脚ある
カフェより

2015年8月19日水曜日

コニーアイランド


Heaven がどこにあるのかというと
もう佇むことのない
汐風の吹く夕暮れの中にあるのだ

家族連れが賑やかに騒ぎ
観覧車が空をかき混ぜる

何もない時間の中に
ぽっかりと僕のいた影がある

焼きあがるピザを待ちながら
景色に溶け込んでいくことで
Heavenへのカギを拾い上げるのだ

始まりの知れない信号機が
案内を開始した

黄色い風船が
どこかの街角に現れては
消えてゆく

Heaven を通り過ぎて
僕はまたピザを食べる

雪が降る 柔らかに雪が降る 昼も夜もこの街に 雪が降る 足跡が道についている 誰かが歩いた跡 私も歩く 雪の中を 優しい雪の中を