2013年11月25日月曜日

地上月下
阿吽の呼吸
阿呆瞑想
殻の体に
鐘の音なりて
幻想失せて
悟りへ至る

2013年11月22日金曜日

丈夫でいるか

大切な人とはそばにいること
植木とジョウロみたいに大切にできるから

話したい人とはそばにいること
海と波みたいに話すことができるから

好きな人とはそばにいること
コーヒーとカップみたいに好きでいられることができるから

愛する人とそばにいることができないときは
月と太陽みたいにいることを想っていること

丈夫でいるか旅先の風や星や雲にたずねて

2013年11月21日木曜日

雨粒と陽光

一見どれも同じように見えますが、その存在というものは唯一無比のものなのです。一見どこにでもあるように見えますが、その存在はそこにしか存在しないものなのです。空から降る雨粒の軌道がどれも違うように。陽光がやはりそれぞれ、照らす場所の違うように。

2013年11月17日日曜日

秘密

秘密といって
内緒といって
聞かれることを隠さないのは
ふれられぬ鐘の音のよう

つもる秘密は
影をつくる
見られることを隠さないのは
触れられぬ陽光のよう

マルタ島の猫が
昼飯はまだかと
あくびをしている

2013年11月14日木曜日

ブルドーザーに挺して

朝陽が私の頬を暖めている
明日もこうして私は
ぬくもりを受けられるだろうか
陽のあるうちに私が
なすべきことがあるのだろうか
会いたかった人もいる
言いたかったこともある
創りたかったものもある
正確無比のブルドーザーのように
進んでいく今日に
限りの鉄槌を打ち込み
尽きればいい
なすことがあるならば
明日は目覚める


2013年11月12日火曜日

立冬

雨上がりに寒気が訪れ
季節が衣替えをして次の春に備えている
湯気を囲んで誰かといる懐かしさを
私たちは思い出している


2013年11月10日日曜日

バベルのとぐろ

排泄をするたびに
私は生きているのだと思う
飲んだり食べたりして
日々というか景色
個室の便器に座って
忘れてしまおうというのでもないが
ためておけないそれらを排泄する

どんな動物も植物も
生命体であれば
死と同じように平等
人はそれを隠しておくことで
性を取り除いて神に近づこうと
バベルのとぐろをまく

アイドルは今日も
スイーツをむさぼるように
頑是ない排泄をしている

2013年11月8日金曜日

岬あたり

2つの花が風にゆられてないていた
丘の上の夕日が落ちてゆくように
底のみえない崖の先に立ち尽くす
何処へゆくこともない木々も
かつては空を飛んでいたことを知っているように
土中の水脈を探しては倒れぬようにもぐるのだ
湖の中でおよぐ雷魚がまちがえないように
ゆすられた大地をのみこもうとした
ちぎれた風景をつないでいこうにも
短すぎるオリーブのつたが
ただ壁のうちをはうだけなのだ
忘れられた岩が潮風を受けて
やはりないている
だれともなくどこからともなく
やはりないている

2013年11月5日火曜日

昼間のよに明るい夜に

珈琲店をみつけはいりこむ
警官がせわしなく歩いている
びりやあどの玉パチンコ玉のように
人々が散っては集まり散っては集まりしている

私はまた眠気が来て
コクりとなった
私が明日の夢を見た
夢の中で私は一日多く生きて
気がつくとまたコーヒー店であった

誰か一人くらい知った顔に合うかと
淡く想った
だがその時わかったのは
誰も私を想うものはないのだと

ウエイターすらも私を気に止めない
そして私も誰も想わなかった

紙を取り出して
詩でも書くがどうもすべらない
そのうち眠くなり
コクりとなった

表に出ると
アジア女性が腕に絡みつき
声をかけてくる
金はあったが女を抱く気にならない

再び空を見上げると
ここは行き止まりなのだと気づく

駅前にはあきらめて眠る人
あきらめず男を誘う男
女を誘う男
男を誘う女

行き止まりなのにどこへ行こうと
さそうのか、
暖まりたいだけなのだ
彼らは暖まりたいだけなのだ

その日僕は考え事をして
終電を逃して
帰る場所を失って空を見上げていた
昼間のよに明るいが
暖かくはない

始発まで突っ立っていようかと思ったが
寒さがこたえた
わざと賑やかな居酒屋に入る
さわぎ回る学生やOL達の声の中
カウンターで好きにやる
が一時間しないうちに
酔いもまわり腹もふくれ
携帯の充電も切れた

朝が来て
みな帰るところをみつけて
どこかへ行ってしまった
私も動き始めた電車にのって

空からホウキのような光が
街を掃いていた




いつかあなたのいない日

いつかあなたのいない日
空はそれでも青く澄み

いつかあなたのいない日
木々はそれでも風になびき

いつかあなたのいない日
海はそれでも打ち寄せて

いつかあなたのいない日
鳥たちはそれでも歌っている

いつかあなたのいない日
僕はそれでも憶えてる

2013年11月3日日曜日

夕暮れは短い

夕暮れは短い
そこにいられる時間は短い
穏やかにいたいと思う

夕暮れどき
街の屋根の先に
いつかみたひまわり

ゆれている
来たみち
帰るみち

どこかで球児たちの
声が聞こえる
追いかけて

峠の中でつぶやいて
そうかな
そうだね

ゆれている
来たみち
帰るみち


雪が降る 柔らかに雪が降る 昼も夜もこの街に 雪が降る 足跡が道についている 誰かが歩いた跡 私も歩く 雪の中を 優しい雪の中を