2020年6月28日日曜日

あなたがもしすでにいるのならばどうかお訪ねください
僕たちの前に現れて合図をください
僕たちがわかるような合図をください

2020年6月27日土曜日


言いたいことほおっておくと
嘘みたいに思えて
腐っていくように思えて
詩という殻つくって保つ


誰も暖めず孵らず
古くなったら
砂糖とミルクバター混ぜて焼いて
パンケーキにして
食べたらいい

投げつけるより
平和だよ

2020年6月22日月曜日

梅雨

どこかにいる時間の
予定のあったその時間に
どこにもいかずに時計とカレンダーをみつめている
あなたに会う時間の
新しく買った家具のことを
始めた仕事のことを話している時間に
こうしてひとり書いている
静かすぎる夜には
なにもしなくてもいいのだけどざわつくほど
あたりは暗くなり梅雨と呼ばれる季節がやってきて
日の長い時間はもう通りすぎたのだと
電波が映し出す画面が教えてくれる
あの日に行きたかったけれども
それは私があの時もっと強く願わなかったからなのかもしれない
私がこうしていることもまたいつかへつながるのだろう
今夜はまた雨が降っています

夏至

表情の変わらぬその顔の奥に
どれほどの糸がつまっている
色の変わらぬその服の奥に
いったいどれほどのとげを隠している
あなたの唇が動くたび湿度が増す
聖書に記されている言葉のように
立ち上っていく

街に雨が降る
街は潤い
僕は孕んでいく

2020年6月14日日曜日

トンネル

大きな窓から見えるマンション
雨粒とライトでぼんやりと見えて
それはいつの日か訪ねた部屋の表札
地下鉄が僕らの記憶の足元を通過しながら
球体の虹を輸送しているころ
起こされたばかりの水夫たちが
焼き立てのパンを頬張りながら
掘削の計画を立てている
朝と夕暮れの訪れる訳をしらないままに
出来たばかりのトンネルを
私達もまた通過してゆく

2020年6月12日金曜日

泡沫

からっぽな僕らの地中海旅行は
西陽の差し込むワイングラスにはじけた

2020年6月11日木曜日

【Pw3連詩組2020】第3弾のまとめ

6月の風

風が強く、薄く塗った雲の早く流れる6月は
いつだかの船の上で撒いた思い出が戻ってきたように思える
あくびをしながら椅子に座りつづけている美しい女がいた
うなる低い風の音はその女の声に似て
触れる風の細かさはその女の髪に似て
押し上げられるカーテンのふくらみは乳房に似て
今日もまたあなたを愛し始めている

季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす