2016年1月15日金曜日

ときわ時雨

落葉が散り散りにあいさつを交わす
おはよう おはよう

焔のあるうちは終わりを思いもしない

昨日がそうでした
何も映らないことを君は知っている

積み上げられたせせらぎに
僕は合図を待っている

生まれたときもそうだし
目覚めたときもそうだし
世界はすでにあり

知らずにつかんだとしても
ここで景色に吸い込まれてゆく

問題は僕が世界に
どう包括(つつまれ くるまれ)ているか
ということでどうやら
もれてはいないことがわかった

それを確かめることはできない
だから次へ進む

オー

アー

オー

一見どれも同じように見えますが、その存在というものは唯一無比のものなのです。一見どこにでもあるように見えますが、その存在はそこにしか存在しないものなのです。空から降る雨粒の軌道がどれも違うように。陽光がやはりそれぞれ照らす場所が違うように。

岩陰の葉の足跡に
竹林のささやきの中に
その部屋の壁に

それは青 それは赤 それは黄色
ときわいろ

もう来ることができない
とおり過ぎた木漏れ陽は聖域

それはそのものが
時間をかけて成っていくものだから

それはそのものが
僕と君の間に繰り返される時間の中で
それは成っていくものだから

もうすぐ夜が明けます

朝の太陽の中で僕は君に気付いた
確かにいることを

永遠を、未だ知らずに

2016年1月4日月曜日

永遠を、未だ知らずに

落葉が散り散りにあいさつを交わす
おはよう おはよう

昨日がそうでした
何も映らないことを君は知っている

積み上げられたせせらぎに
僕は合図を待っている

知らずにつかんだとしても
ここにいて吸い込まれてゆく

それを確かめることはできない
だから次へ進む

岩陰の葉の足跡に
竹林のささやきの中に

もう来ることができない
とおり過ぎた木漏れ日は聖域

朝の太陽の中で僕は君に気付いた
確かにいることを

永遠を、未だ知らずに



新しい人

あなたが吸う空気は
潮の薫りがするでしょうか

あるものたちが美しくあることを
どうか僕たちに教えてください

哀しみばかりでないことを
新しい人よ
どうか僕たちにおしえてください


アンカー

ことばから遠くはなれて
土をひろう

砕かれた骨が宙を舞って
春が来る

手紙が届く

知りたかったのは
愛の深さ

音楽だけが時の過ぎるのを
教えてくれる

またあの季節に僕らは
会えるだろうか

アンカーを打ち込む
また戻れるように
アンカーを打ち込む


どこへも行けずに

生きていることを忘れてしまうほど
人を愛して

太陽のひかりにただ焼かれて
月のひかりにただ溺れる

触れた肌の
息の吐き出されるのを
思い出しては
どこへも行けずに

社にて

女の眠る本屋の二階
カビの臭いのする布団
光の差し込むグラス
寒風の通る路地裏
車に乗って女を探して
目覚めるとそこにいた
溢れるくらいの冬の気配が
少し触れるだけでこぼれきそうで動けない
時折ひびくアラームと
夢とうつつの交わる振り子時計
老人の手の皺
仏のある園
はっきりとしたポイントは少し先のこと
許されてしまった恥ずかしさが
影をまとってのびてゆく
地下を流れる水脈と同じように
探し当てて井戸を作るのだ
枯れることはないと知っているのは誰か
酔狂の中で気が付いたこと
光が集められて
私を焼いた
ある冬の日、
美しい社での出来事
動いた 降りてくる 女 
梯子からー

雪が降る 柔らかに雪が降る 昼も夜もこの街に 雪が降る 足跡が道についている 誰かが歩いた跡 私も歩く 雪の中を 優しい雪の中を