2009年3月31日火曜日

こころとからだ

こころはなれて
からだもとめ
からだはなれて
こころもとめる

ああ さよなら

2009年3月28日土曜日

まくら

電車でとなりのひとが
いつしかいねむり
僕の肩はまくら

バスでとなりのひとが
いつしかいねむり
僕の肩はまくら

ガタガタ
ブーブー
うとうと
すやすや

もう春です

僕もいつしかいねむり
となりのきみの肩はまくら

2009年3月26日木曜日

詩のあるところ

近づいたときに
生まれる詩を

はなれて思い出して
記すような詩でなく

そばにいるという
ひとつの愛の詩を

そのぬくもりの中に
みつけたい

2009年3月25日水曜日

カサブランカ

退職する老いた恩師に
体にぴったりカサブランカ

蒸しかえる教室
汗拭くハンカチが止まり
カサブランカが
小さく静かに長く揺れている

2009年3月17日火曜日

逢うこと

あなたが好きで
どうしようもなく
ただ逢いたいだけなのに
映画やお茶や
そんな口実ほんとは嫌だ

晴れたからでいいし
雨降りだからでいいし

いつがいいなんてもの
どうでもよくて
月曜が休みだとか
週末に給料が入るからだとか
そんな口実ほんとは嫌だ

生きているこの瞬間
あなたに逢いたい

いつだって何を差し置いても
あなたに逢いたい

あなたに逢うこと以外
大切なことなど何もないのだから

2009年3月16日月曜日

にわか雨

昨晩降り出したにわか雨
庭の小池に星空浮かべ
新しい朝にほほ笑む

2009年3月3日火曜日

タバコと海

タバコの煙で
消えていった男のすきまを
うめようとしたってだめ

臭いが服と心に
しみついて
どこまでも追いかけてくる

そう

海にでも行くのね
潮風にあたって
少しひりひりするほうが
タバコの煙よりずっといい

ある朝ぽっかり
詩がやってきて
そして去った。

季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす