その光は少し前のこと
住み慣れた部屋へ
新しい傘が赤い傘がきて
そして雨が降った
日々の物語が流れ出して
羽が浮かぶ
その跡をたどって僕らは森の中へ
ざわめく木々が覆い被さる
泉へ抜けることを
知ってるフクロウがなく
光速音速を超えて離されていく
光速音速を超えて近づいていく
記憶は失われ新しい記憶が入り込んでくる
終わりは始まり始まりは終わり
それでも留めようと留まろうと作り上げていく
静かな叫びは残り続ける
静かな光は輝き続ける
朽ちていく私の肉体に反して激しく震える魂が走り出す
アイラインを引いて誰かになる
知らない服を着て誰かになる
同じ動きを繰り返して誰かになる
息を潜めて暗闇に光の差すのを待つ
見慣れたはずの場所が遠い街の蜃気楼
彼らは別の誰かとして語りくる
ほんのわずかの時間、私は嘘になる
ほんのわずかの時間、私は誰かの真実になる
夕暮れのもたれかかる/日に数本の路線バス/地方都市の湖畔沿いをゆく/春を待つ並木の枝が空に乞う/目的の停留所より少し前で下車する/名も知らぬ人々とすれ違う/もう会うことのない人々とすれ違う/私もまた彼らの景色//
季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす