2017年3月31日金曜日

飛行機雲

君の街の空には飛行機雲があるんだね
夕陽がトマトみたいに赤い
君はそこを歩くんだね
君はここに暮らしているんだね

そこで僕は駆け出した
急いではいたんだけど
そういうことでなくて
飛行機雲を追いかけるように
僕はかけだしたんだ

2017年3月29日水曜日

電灯を消して天井がどのくらいか見えるかなな夜に

電灯を消して天井がどのくらいか見えるかなな夜に
だんだんと夜が明けてくるのを待つのです

温もりから窓を開けますと
物干しざおにかかかる 空っぽの洗濯ばさみに
陽光がほされて足をぶらぶらしてるんです

石鹸とビオラがつつきあって露をはねる
冷蔵庫の中で昼寝する茄子と大根をひっぱりだして味噌で煮る
吹きかえる湯気にシンドバットの蜃気楼
オアシスに浮かぶ花びらを手のひらですくうんです

いつだって日々を閉じ込めて薫りがする
そう、哀しい記憶ほどいい薫りがする
だからもう泣かないでください それでよかったのですから
アパートの白壁がね ギリシアのミコノス島みたいに見えるんです

いつだって少したってから青春は訪ねてくる

2017年3月22日水曜日

はなればなれに世界はありまして

はなればなれに
世界はありまして

みぎて よるのき
わらう かぜ うしろ
雨のしじま 卓上ランプ
ふりこ時計 ボボン 一輪挿し
コーヒー 古本 とりおき
キャバレーの娘
スケッチしたての赤ちょうちん
すりガラス越し

はなればなれに
世界はありまして
詩はなかった

でも君が来て
世界は詩になった

君を知るまで
詩はなかった

2017年3月20日月曜日

指先

あの夏の楽しかった波打ち際で
水面から燕が飛び出して
秋を迎えに行ったね

明けがたの別れ際で
少し話があるんだって
嘘だっていいから
飛び跳ねた風船をみつけたらよかったね

指先がいつも明日のスイッチを押して
コンベアーに乗っかって
螺旋階段のすみを見つめているんだ

そこの交差点を曲がれば
目的地はすぐ
そこで待っていれば
来るんだ

そのときは知らなかったんだよ
そうそれは未来のことだからね
そのさきも知ることはないんだね
そうそれは起こらなかったことだからね

そう指先
指先が
描かなかったね


そうやって生きます

生きている僕は
生きます
食べます
息をします
歩きます
働きます
唄います
笑います
泣きます
話します
見ます
聞きます
嗅ぎます
触ります
寝ます
そうやって生きます

ときどき
生きることは
怖いから
生きることは
苦しいから
生きることは
悲しいから
優しい人と過ごします
そうやって生きます

2017年3月17日金曜日

湊にて

港街の
青い海の

白い漁船が
真昼の太陽に照らされて
揺れている

身体を縁取り
墨汁のような影が
地面に染みる

娘が聖域の中で
光を捧げて影になる
娘をさらいに風が吹く

唖の娘は糸を垂らして
ここへ、ここへと
往き来しながら合図する

湊の
青い海の

永遠が落下する

2017年2月5日日曜日

あしたがくる

ふらりといって
ふわりとのんで
あしたがくる

ふたりでいって
やきにくやけて
あしたがくる

ことばがひらひら
きぶんがふわふわ
あしたがくる

おんでもおふでも
さんでもむーんでも

さよならのじこくがきて
さようならのときがきて
それで
あしたがくる

2017年2月2日木曜日

2017年1月22日日曜日

座りてハラハラを眺め



遊歩道にあるベンチに座る

シダの屋根の隙間から青空がのぞいた

隣に1人の老人が座り

シンセイを吸った

吸い終わると去った




スーツケースを持った青年が座った

スーツケースに身を預けるようにして

臥して座った

冷たい北風が吹き抜け

私の吸ったタバコの煙が青年に流れていった

青年はひとつ咳をすると

立ち上がって去っていった




どこかでみかけた顔が通り過ぎて

声をかけようとしたが、

イヤホンを耳にしていたので

私の声は届かなかった

知らない顔だ




煙が空に浮かんで行き

雲を作って桜になった

ハラハラと、散る

ハラハラと、ハラハラと。

2017年1月18日水曜日

いろはにほへと

ひと駅先のあなたの店
今日も寄れずじまい

居待月がツンとした空に
のぞいていた

文字や絵文字の
おはようとおやすみ
やりとりしていた
満ち欠けの間に

ハードディスクの中の笑顔
アイホンの中の愛してる
全部ディデイトして

たあいない
たよりない
あいまいな

いろはにほへと と
ちりぬるを を


2017年1月13日金曜日

抽象画

5年くらい前、高円寺のライブハウスの控室に抽象画のいい絵があって、欲しいなと言ったら、マスターが描いた人を紹介してくれた。「絵を売るのは初めてなので」というので彼の滞っていた携帯代と引き換えた。それから全く会っていなくて、昨晩、昨年、酒飲んで階段から落ちて死んだって話聞いた。

2017年1月9日月曜日

厨房にて

トマト、レタス、キュウリ、パプリカ。
水菜、アボカド、ブロッコリー。
インゲン、カイワレ、スモークサーモン。
ワカメ、タコ、ツナ、ローストポーク。
セロリ、ギュウニク、マスタード。
ダイコン、クルトン、タマゴ、チーズ、ホウレンソウ。
ナス、ジャコ、ピーマン、ウインナー。

テリーヌ

庭先に梅が咲いていた
金柑がたわわになって地面に落ちていた

苺をほおばり
笑い声が響く

夕陽は今日も水平線を染めて
はしゃぎ疲れた子供が自分の世界で眠る

でんでん太鼓のやわらかな音が
夜のしじまに溶けてゆく

そんなある日の一日のテリーヌ




2017年1月7日土曜日

私は亀でよかった
星に見守られて暮らす
私は亀でよかった

2017年1月5日木曜日

念には



言いそびれました
やりそびれました
書きそびれました


一念3千という言葉があって
一念の刹那の中には
3千もの様相が絡み合って出来てるそうな


言いそびれました
やりそびれました
書きそびれました


服、かわいかった
声、心地よかった
今、美しかった


正しさじゃなくて
正直さを
念にはいれて


そびれた慈しみを
せめてこの
念にはいれて

2017年1月3日火曜日

公園

アパート前の公園
正月から賑やかに親子が遊ぶ

遊具の丘の上から滑りおり
木漏れ陽注ぐ木々の隙間を走る

いつだかの雨の日
オレンジの傘をさして君があるいた

いつだかの冬の日
霧の中を君があるいた

陽は落ちて
時は流れて

公園は憶えているのだろうか
木々は憶えているのだろうか

通り過ぎた親子を
通り過ぎた僕らを

悪い奴と暮らす

少し悪い奴と暮らすんだ
毎日がめちゃくちやで面白いから

少しワイルドな奴と暮らすんだ
住むところがジャングルだから

飛び跳ねてすべりこんで
ひっぱたいてよじ登ぼる

黒い奴、茶色い奴、
ぱっかりはらを割って暮らそう

あけすけにはしゃいで
適当にしつらえて

少し悪い奴と暮らすんだ

2017年1月1日日曜日

朝の生まれたわけ

朝の生まれたわけ
朝の生まれたわけを
誰か知っているかい
朝の生まれたわけを
そんなものがあるならば
教えて

この世界を構築するすべてのことは
意思?
のもとにあるの?
なぜ、僕は意思?を持つの?
行きたい
会いたい
話したい

朝の生まれたわけが
もし、ないならば
私のこの目覚めるたびに
沸き起こる意思は
どこから

時の集積の
末端の先端の

2016年12月30日金曜日

沈黙

手のひらからこおぼれ落ちた風が
季節を巡りふいている

いつかみた影がまた壁に
落ちて揺れている

私の向き合えるものはひとつだとして
私の見える景色はひとつだとして

平行にながれてゆく地平線に
私は飛べる

陽光が立ち上ってゆくところへ
私は飛べる


2016年12月21日水曜日

横顔

なにも映ってなかったよ
暗がりだったから
お酒飲んでたから
綺麗に思えた横顔
映ってなかったよ

ぼんやりと笑っているのがわかる
僕も笑っていたよね
ずっと前から知っていたけど
あの夜がいちばん綺麗に思えた

たぶん僕を見ているんじゃなくて
見知らぬ方を見ていたから
横顔、そう横顔だった
見知らぬ男をみてる
横顔が綺麗だったんだ

なにも映ってなかったよ
暗がりの中で笑いあったよね

2016年12月20日火曜日

きっとそうだ

ぼくたちはとなりあわせ
BARカウンターで、浜辺で、映画館で

なにを待っているかはわからないけど
ただぼんやりしてとなりあわせ

きっとそうだ、同じ気持ちなのは
一緒にいたいってこと、きっとそうだ

デパートに買い物にいって
ぼくたちはバラバラにものをみているね

朝、仕事場にいくときも
別々に出ていって、昼間をやり過ごす

きっとそうだ、同じ空を見上げて
なにを食べてるかなって、きっとそうだ

贈りたいと思ってる
手帳、ピアス、マフラーetc
えっと、あと、きっと空

きっとそうだ、同じ気持ちなのは
裸になれるってこと、きっとそうだ

きっとそうだ、となりあわせなのは
一緒にいたいってこと、きっとそうだ

2016年11月8日火曜日

やさしい女

やさしい女があった
ご飯は食べていますか
寝ていますか
私が暮らしていることを思う
やさしい女があった

やさいい女があった
別れ際のホームで見えなくなるまで
見送る
みなの道案内を進んで買って出る
ほがらかな
やさしい女があった

やさしい女があった
人の苦しむの様を見て
自分のいたらなさを悔しがり
強くなりたいと願う
やさしい女があった

やさしい女があった
家族が集いご飯を食べるのを
微笑んでみまもり
友人の悩みを気のすむまで聞いて
気晴らしいに遊園地でもと誘う
やさしい女があった

やさしい女があった
よく笑い、くせ毛で、寒がりの
美しく、愛おしい
やさしい女があった

2016年11月5日土曜日

情景

ふれる さわる はじく
あたる すぎる 

窓辺

かがむ のびる ひねる
にぎる なぜる

湖畔

ふるえる さざめく
ながめる かかえる
のぼりおり

公園

まつ あるく こぐ
かぐ くわえる

夕暮れ

今日という日

今日がどういう日かって
それは光が注いでいたさ

今日がどういう日かって
それは風がふいてたさ

好きな人を思って皿を洗って
好きな人を思って床を磨いたさ

今日がどういう日かって
それは国会前で叫んださ

今日がどういう日かって
それは死んで生まれたさ

花を思って詩を書いて
海を思って歌を唄ったさ

今日がどうだったかって
それを決めるのは

今日がどういう日かって
素晴らしいよ、生きてる、愛してる
今日がどういう日かって
素晴らしいよ、生きてる、愛してる

素晴らしいよ、世界に生きてる
素晴らしいよ、君を愛してる

今日という日

今日がどういう日かって
それは光が注いでいたさ

今日がどういう日かって
それは風がふいてたさ

好きな人を思って皿を洗って
好きな人を思って床を磨いたさ

今日がどういう日かって
それは国会前で叫んださ

今日がどういう日かって
それは死んで生まれたさ

花を思って詩を書いて
海を思って歌を唄ったさ

今日がどうだったかって
それを決めるのは

今日がどういう日かって
素晴らしいよ、生きてる、愛してる
今日がどういう日かって
素晴らしいよ、生きてる、愛してる

素晴らしいよ、世界に生きてる
素晴らしいよ、君を愛してる

2016年11月4日金曜日

セリフ、例えば語られるべき言葉はどこにあるか

ヘリの飛ぶ音が聞こえる
私を通過していく存在と
私のなすべきこと、
眼前にあるもの

遊園地へ向かう途中の宇宙の道に差し込む日差し
生きていることを謳いあげる珈琲の苦み
近づいた神の君の髪の香りへ許された離脱と距離
巻きあがる神が誰を愛するというのか
ついえるまでつうじて湧き上がることをつづる

ヘリの飛ぶ音が聞こえる
上空3千メートルから何を探している
虚して心という宇宙に何を探している
音を探す、色を探す、美しい尻の丸み
柔い肌、白い指、甲高い声

イマージュとイマージュの間にある詩情
静物と生物の愛だ!にある詩情
あなたの、君の動くことで生まれる微熱
意味を超えたところの愛しているのは人間にあるところの微熱

肉体の朽ちる時、思考は停止する
燃え尽きた灰と炭とが詩篇となり残る

アンダーグランド

アンダーグランドはすでに失われ
明日は遠く、思いもよらぬところで姿を変えて訪れる
あぁ、あぁ!と感嘆が積もれば
またフロンティアが生まれる

沈黙

時間は私の知らぬところで流れ
私の知るところは眼前の一輪の花
瞬く間に散りゆく一輪の花
私の知らぬところは変容し続けて
押し流される流れの前に私は沈黙している

2016年10月13日木曜日

途中のかけら

始まりは終わりだという
終わりは始まりだという
現れるのは途中の話
掬い取られるのは途中のかけら

途中のかけら

始まりは終わりだという
終わりは始まりだという
現れるのは途中の話
掬い取られるのは途中のかけら

ユリイカ

そもそもさ
分裂して出来上がってるわけだから
僕たちは

存在することは
規定するからわかれるけれども
愛することで近づいていく

2016年10月12日水曜日

夜明けから、また夜

夜明け
空はむらさき
あなたはわたし
わたしはあなた
雲について何か語ろうとした
柔らかい筆先のような雲について

おはようございます
洗濯物がはためくよ
ピアスは嫌いなの
ビオラって小さなパンジー
花言葉は想いで胸がいっぱい

だるまさんがころんだ
やわらなかユーモアがいるね

そして
何も起こらない夜に

2016年9月27日火曜日

地平線は
水平線は
果てしのない蜃気楼

あふれ出る向日葵に
明日を託している


2016年9月10日土曜日

残暑

僕の知らない夏をくぐり抜けてあなたはまた美しくなる

2016年8月31日水曜日

夏について

見送る季節を
額縁の中に捕まえた

走り出す向日葵は
人の波の中へ

蝉しぐれが
川沿いの林道に降る

郵便配達人が木陰で
昼寝をしている

身体を揺らしながら
OPEN CLOSEの
ミラーボールを行き来する

さよなら林道
さよなら白猫

夏について




2016年7月15日金曜日

醒めたくない夢を見た

その人の名を口にすると
その日の夜夢に見てしまう
会わなくなって久しいが
先日その人の名を口にして
夢に現れた
鮮やかな浴衣を着て
私をみてやさしく微笑むのだ
なれない下駄に足元が
よろめいて
私はその人の身体を受け止めた
ああ、なんといういい香りがする
ああ、なんという華奢な肩
その人はしばらくじっとして
夜空を見上げていた
私も夜空をみあげて
その人の名をよんだ

居間のソファーはしんとして
観ている途中だった映画は終わりまで行って
メニュー画面に戻っていた

そんなこと
ほんとうの時間は
そういうふうに流れて
私は幻をみた
どういうわけかいい香りだけしていた

2016年6月25日土曜日

夜に

夜の樹
根元の根が
人の寝ているように見えた

夜の公園
街灯が葉を照らして
揺れていた

夜の遊具
昼間より騒がしく
沈黙していた

へそのような
広場の真ん中に立ち
数日前に吐き出した言葉を
思い出していた

風が走り抜けて
そこにいる
私だけが
いつまでも部外者のように
ハーモニーを乱していた

私は座り込んで
夜になろうとした

私は眠り込んで
夜になろうとした

2016年6月24日金曜日

無題

憎しみ


がない
のは
しらないから

がない
のは
わからないから

がない
のは
ふれないから

がない
のは
おなじだから

あると
うまれる

無条件の
美しい世界は


いきるということは
憎しみをかかえること

あるから
すべて
​あるから

2016年3月29日火曜日

夜明け前

夜が訪ねて
静けさの広がる間に
耳をすませば
心の声が聞こえてくる

騒がしい世界も
今ならもう眠っている

言葉を交わす
言葉に触れて
心に届く

生きとし生けるものよ
闇夜に歌うのだ
朝を待って
朝をたたえる
歌を謳うのだ

忘れてしまった
人の名を僕は
木々の影の中に見つける

ありふれた時の流れの中に
こうして
くさびを投げ込んでは
いつでも帰ってこられるようにと
願うのだ

いつ尽きるかわからない
命の灯を
突然の雷や雨の埋めつくす街の中でも
確かに輝かせ燃やすのだ

終わりを知らない
あふれる限り続けるだけだ

ああ、君は今眠りの中か
どんな夢をみているのだ

僕は君の髪をなぜる
いい香りがする
いい寝息が聞こえる

生きているということに
泣き出しそうなくらい
震えている

僕は地下から水を汲んでは
君に飲ませる

終わりのわからないままに
僕はこうして君と過ごしている

木を植える
花を咲かせる

この紙の上に
かすかではかない心を
文字の器に注そいで現すのだ

花束のように
君に届ける
言葉を贈る

夜の明けるまでには

2016年3月9日水曜日

深夜-夜明け

輝きをかいでむせかえる春

闇夜に浮かぶ物の怪はあいつだ

息を殺して抜けるトンネル

身をかがめて突き抜けるパラレル

互いに狩られるすんでのところで戯れる

それぞれの季節の詩に疼きを憶えながら

やがて太陽の血が流れ世界が新たに染まる

汚れた部屋

畳をかえたばかりの
青い匂いがまだ部屋にある

落ちている毛や埃
僕から出た老廃物がつもる

掃いても、吸っても、つまでんも
僕がいるだけで老廃物がつもる

しんしんと

僕は汚して生きる

バス停をすぎて

バス停があって 田畑の広がる一本道に  一時間に数本  だからベンチがあって屋根があるのです。 私はしばらくいて  通りすぎるのは  風や雲や時間ばかりで  バスは通り過ぎなかった 私はどこかに向かったのでしょうか ? 私は何かが来たのに気づいたでしょうか?  私はバスが来ていた...