父親がガンだと分かったのは昨年の秋だ
手術や治療を繰り返している
家庭を振り返らず母に愛想をつかされ
ひとり線路沿いのアパートに住んでいる
訪ねて行ったら散らかる部屋の中に
健康に関する本が山と積まれていた
部屋を片付けてジブリのCDをかけたら
「人間になった気分だよ」と蒸せた
飯を食べて駅までの道を歩いていると
父親は突然立ち止まった
父親は曇り空を見上げた
膀胱ガンだから尿意がわからずおむつをしてるのだ
思い出したようにカバンから携帯を取り出し
電話をかけるふりをした
「こうすれば怪しまれないだろ」
誰になにを怪しまれるのかわからなかったが
父親は笑っていたので私も笑った
詩にしていいかなと聞いたら
「書け、書け」というので私はこうして書いている
明日再び手術がある
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