小屋がひとつありそこに若い夫婦が住んでいた。
男はきこりで山へ入り枝を集め、それを街へ売りに出ていた。
その山は女の叔父より引き継いだものであった。
その山にはひとつの祠があり男の仕事はその管理を兼ねたものであった。
男と女が結婚した時に男には仕事がなかった。
女の父は反対したが叔父は男が生まれた土地が同郷だったこともあり
この山を管理することを思いついた。
男女は貧乏だった
だが幸福だった
2人の住む庵の近くに
蓮の花のさく泉があった
女は蓮の開く時に茶葉を入れ
茶葉へ香りを移して
男と食事をする時
その茶を出した
食事はミルク粥
山はこの世とあの世を結ぶ境界であった
男は枝と一緒に
物語を一つ持ち帰った
食事の時
男は女に物語を語った
男女は貧乏だったが幸福だった
蓮の香りがする茶と粥を囲んで男が話した物語はこうだった
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