川へ行かないと
子供が言った
いいものがあると
子供が言った
いいものが何かわからなかったが
私は子供についていった
川へ行くまで
七つの道を曲がり
七つの山を越えて
七つの森を抜けた
川のほとりには
小屋が一つ立ち
灯火が揺れて
水面に写りこんでいた
川の底から気泡が
湧いては消え湧いては消え
川のへりに黄金のザリガニが
浮かんでは沈み浮かんでいた
私はたやすくそれを捕まえると
重い重い金塊となった
子供は私が次々に捕る様子をみていた
私は夢中になって捕るころ
あたりは川と同じように
暗闇に包まれ子供も小屋もなく
金塊の重みだけがわかった
私は動けなくなり
暗闇の中
息だけがまあるい気泡となって
上へ上へと昇っていくのだった
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