2008年12月2日火曜日

詩篇1-10

1、自由

さて
私は生まれた
自由だ

どこへゆく
なにをする
自由だ

永遠に
命と共にある
自由だ

2、花

それは咲く
私と同じように
あるいは花と同じように

繋ぐため
撒くため
それは咲く

今までと同じように
あるいはそれからと同じように
ここで

3、風

飛ばし
運び
かき消し
揺らす

想いと
命と
叫びと
心を

ふわり
ふんわり
びゅんびゅん
さわさわと

果てから果て
始まりから始まりまで

ふわり
ふんわり
びゅんびゅん
さわさわと

4、音

消えてゆく音は
心の中で反響し
繰り返し繰り返される

何年経とうが
変わらずよみがえる音は
すでに聴くものの一部となる

思い出とはつまり音よりはじまる

5、光

包まれることは
忘れてしまうこと
離れてなくなろうとも
思い出すのだ

なつかしく
そのあたたかさと明るさに
似たものを求めて生きている
だが

記憶の中よりは
どこにも見つけられない
それが光
ほんとうの光

6、影

あることで生まれくるのだが
みつめられることなく
もとめられることなくある
闇ではない

あることは影をたどることで
たしかめられる
なくするには
影にいればよい
耐えられぬなら
影にいればよい

なにか大きな影に
身を潜めることより
あることのさみしさや
あることの恐怖より耐え逃れられる

だが影よりは逃れられない

7、時間

なにに干渉されることなきように
決意したひとつの命であるかのように
無関心にすべてに入り込み
覆し推し進める

ああ

友となれたらいいのに

でも

君はいつでも憎しみの対象

ごめんね

たぶん大切にしないから

8、言葉

離れていくことはしっている
終わらせてしまうことはしている
言葉にしないほうがいいのに
今度こそは
掴んで離れず終わらない言葉が
見つかるかもしれないと

愚かにも
発してしまう
愚かにも

9、愛

これで生きて
これで死ぬ

10、存在

触れて確かめていくことでしかわからない
確かなものに触れて
なんとすべてはうつろいやすいものなのかとわかる
そのうつろいのうちにあるひとつの自由で確かな力
それこそが存在であること
確かな存在であること

私は言いたい

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