はじめて沖縄に行った日
車で町を走っていたら
田無とか
東村山じゃないかと
都心から少し離れた
ただの町じゃないかと思った
海を見るまでは
居酒屋の店主が泡盛飲んで三線をもって硫歌歌うまでは
屋根つきのお墓見るまでは
やがて夜が来て
波のしらべに耳をすますと
さらに沖縄らしくなった
しかし
人の多く死んだ島は
どうしてこうも風が強く吹くのか
何かをかき消し
遠くへ運んでいくように
たとえば
戦車や戦闘機の音にまぎれて聞こえる
平和の歌や
基地の中から聞こえてくる
かじゅまるに住むキジムナの笑い声を
島はときおり強い風で泣く
はじめて沖縄に行った日の夜
沖縄は強い風が吹いていた
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