茜空に雲が浮かび
道を行きかう人々の足音がする
北風が狭い路地に入り込み
餌を請う猫の鳴き声がする
たばこの煙を追えば
夜の始まりを告げる月が浮かぶ
醤油の焼けたにおいが漂い
懐かしい童謡の響きにあわせて
井戸の取っ手がこすれ水の流れる音がする
私は一人声を聞く
感触の行き先を知りたくて馴染んでいる私は
黙してしまった馴染めない私の声を聞く
馴染めない私は言う
「戯れるのはやめろ」と
馴染んでいる私の指先は痺れ
馴染んでいる私は震えだした
冬の寒さではない
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