2012年5月23日水曜日

君空

青空の中に君を見ている
夜空の中に君を見ている
茜空の中に君を見ている
曙空の中に君を見ている

雨上がりの水溜りに落ちる空の中に君を見ている
車のボンネットに映る空の中に君を見ている
テレビに流れる異国の空の中に君を見ている
過去に記された詩の一節の空の中に君を見ている

今、このカーテンを揺らす風はどこの空から吹いているのか
今、綿毛を飛ばすこの風はどこの空から吹いているのか

それは
君の麦わら帽子を飛ばしたあの日の空から吹いている
つまりは
君の空から吹いている

目を閉じて浮かぶ空の中に君を見ている
目を閉じて浮かぶ君の中に空を見ている


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季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす