2014年9月29日月曜日

ブラックホールが
宇宙を飲み込んでいるそうです

光があって世界を知れるのは
闇があるからです

悪意があるわけではなく
そういう性質なのです

深い闇があるからこそ
輝かしいのです

激しい喜びは
世界に穴を開けるのです

2014年9月12日金曜日

駅前広場


強い日差し
に照らされて倒れて動かない男
その横に喫煙所
男の存在がないように
喫煙所に出入りする人々

一人の青年が男を見る
しばらく立ち止まる
男を見る

そして喫煙所にいく
青年は煙草を吸う
吸い終わる
男の横を通って
男を見ることなく
立ち去る

青年は交番に立ち寄り
「広場に男の人が倒れています」
「ああ、ああしていつも休んでいるんだよ」
と警官は言った

青年は改札を抜けてどこかへ向かった
車窓から風船が飛んでゆくのが見えた
喫煙所からは煙が絶えることなく昇っている







2014年9月7日日曜日

駅前広場・道・家

*駅前広場

強い日差し
に照らされて倒れて動かない男
その横に喫煙所

男の存在がないように
喫煙所に出入りする人々

一人の青年が男を見る
しばらく立ち止まる
男を見る

そして喫煙所にいく
青年は煙草を吸う
吸い終わる


男の横を通って
男を見ることなく
立ち去る


*道

青年がゴルフ場練習場の
裏手を歩いている

一人の女が腰かけて携帯をいじっている
青年が近づく
女は顔を上げる
女は立ち上がり

青年と並んで歩いてゆく


*家

昼間居間に、一匹のゴキブリが歩いている
ゆっくりと歩いている
とても大きいゴキブリ

女が殺虫スプレーをかける
泡がとても大きいゴキブリを包む
泡がはじける

とても大きいゴキブリは動かない


女「こんな昼間に出来てたら、殺されるに決まってるのに」
男「俺、昨日もみたよ」



2014年9月1日月曜日

夏の終わり

50センチくらいだったか
触れられる距離で君が何か話している
見つめるだけで言葉や時間が通り過ぎてゆくね
君が思いを馳せるところがどんなところなのか
先回りをしてつかまえたいよ
セミとコオロギが鳴きはじめる夏の終わりに
消えてゆく君のかけら言葉抱きしめた


わたしだったらそうするな

シンプルな問いと答え クローバーを探すわ 四つ葉のクローバーを探すわ 追いついたかしら? パステル色のカエルさん 揺れてるブランコ スカート 今もパレード こぶしを握る 傾きかけた人生 真っ白な造花の薔薇に 赤いスプレーかけていく わたしだったらそうするな わたしだったらそうする...