2013年10月21日月曜日

楽園

腹を減らしながら道をゆく
始まりがどこであったかはもうぼんやりして
足をむしり取ってほおばりながら
踏みつけにしてきた小石や土が
もうぜんと主張し始め突刺しまとわりつく
行こうとする僕をとどめて
空から落ちてくる太陽に焼き尽くされ
I am
I am
歩かなくては死ぬ
進まなくては死ぬ
飢えを満たすのは肉しかない
肉を喰らうまでは進むしかないガイコツ
肉を喰らうとき
動かず誰かがくらいに来るのを待つのだ
ああ、それにしてもまだ風は吹かないのか
風さえ吹けば少しは思い出をたどれるというのに
北の山脈
西の夕陽
東の岸辺
南の島々
トレーラー、ガスタンク、ブォブォ
目指しているのは楽園
人と離れ故郷と離れ
鋼鉄の創造物に追われながら
僕自身を食い破りながら進む
カバンの中に今朝、安宿でくすねた
干からびたパン 
そこに含まれる


今はただ行かなくてはならない
道を行かなくてはならない
ガイコツになって骨、しゃぶりながら

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季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす