その時海は銀色だった
青は空
空は雲で海の真似をしていた
その時海は金色だった
オレンジの朝陽
海へ金色の道を敷いた
その時海は鉛だった
風は恐れて
波の陰に隠れていた
その時海は暗闇だった
月がくすぐっても
息を飲み込む暗闇だった
海は・・・
海は・・・
海は・・・
その時海は殺人者だった
幼い私の足をつかんで殺そうとした
私は逃れようとどこまでも泳いだ
その時海は恋だった
行けば支配されるとわかっていながら
私はもぐりこんでいった
その時海は音だった
どこまでもやさしい母のように
私の嘆きを美しい旋律にした
その時海は永遠だった
私が記すときと同じように
その時海は永遠だった
海は・・・
海は・・・
海は・・・
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