それはどこからきたかわからない
六月の空が太陽に溶け出した夕暮れ
草の指を揺らす風が予感を運び
窓を開けた私の体へ入り込んだ
やがて血が騒ぎ
大地の香りを夢みた
少年時代の憧れが立ち上がる
母のひざ掛けに包まれ
故郷を後にした私は
雨の降るレンガの町並みを
砂漠をどこまでも歩いた
それは友人に宛てた手紙のように
見知らぬ人の顔の中に
愛する人の顔を見つけることと思い知る
浜辺に打ち寄せる波が
繰り返し繰り返し私に
何者であるかを問いかけ
私は呼吸をするたび答えようとする
新しい詩が生まれるたびに世界は
新しい解釈を与えられ
私はすすんでその中へ流れ込む
そしてわずかな灯が点灯する
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