2012年4月9日月曜日

親愛なる森

本は親愛なる森より
彫りだされたひとつの杖

文字の標に導かれ
行間の小道を歩いて森ゆけば
せせらぎ さえずり かぐわしき薫り

抜ければそこは無限のアゴラ
天よりあふれしたたる美しき水
地よりわき実る豊かな果実
澄みわたる泉 満ちるこもれび

みなみな宙卓を囲んでおしゃべり
ベルヌ ジュペリ ドストエフスキー
漱石 中也 芥川
パブロネルーダ 子規 四郎…

みなみな泉で水浴び
賢治 ダンテ シェイクスピア
李白 ゲーテ トマスマン
りんちゃん サガン 紫式部…

みなみな木陰でひと休み
イエス 孔子 マホメット
ピュロン ブッダ ソクラテス
ヘッセ ホメロス ハイヤーム…

みなみな なみなみ 名を忘れ
風になびく八つ手の花弁

ほんのひと時の終り
果てて饗宴の終り

みなみな彼岸のかなたへ
だれもかれも親愛なる森の種子

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季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす