2023年12月12日火曜日


君が教えてくれた

一番の優しさから

光が届いて

積み上げられた影を抜けた

それはいつかの雨の日のこと

***


You taught me that.


From the kindest


The light reached me


Through the piled shadows.


It was a rainy day sometime


2023年12月5日火曜日

降り立った駅の

澄んだ空気

どこにいるのか私は

何をなすべきか

問いに答える

世界からの問いに答える

通過する情景を現す

どうぞ私をご使用ください

2023年10月9日月曜日

シークワーサー畑にて

暑い日差しの中に照らされて

育ちゆく木々に緑の実がなる

澄み渡る空と大地が私を生かしている

雨が降り私を生かす

私は生かされた命を使ってこの世界を整える

動くことのできないものたちに語りかけながら

この世界を愛する

そして湧き上がる言葉という確かな命の芽生えを

詩にしてゆく

私のいるところは整えられ

命は新しく芽吹いていく

祈りに似た愛を私に触れるものは受け取る

私の命のあるか限り

2023年10月8日日曜日

通り雨と空と

祭りの夜、通り雨が街を覆って

交差点、四角の銀行の軒先で雨宿り

この雨がいつ止むのかはわからない


交差点をはしゃぎながら渡る人たち

車をとりに行くよと妻とベビーカーの幼子を残して走る夫

濡れた浴衣を絞る女子ら


街灯がぼんやりと夜空と街に溶けていく

私は眠れず散歩をしていた

空の上にいるおしゃべり


どこの空と

どこの街で

私はまた会えるかな




2023年9月22日金曜日

無題

雨の降る日に高く壁の伸びる細い道を
声を響かせながら歩いく
懐かし人の足跡に導かれて
ノートに挟まれた見知らぬ土地の花を見つける

白い空から光を注いで
僕たちは時間を留めようとした
カラフルな岩を渡りきながら
優しい記憶を確かめていた

青い鳥が霧に紛れて通り過ぎる
さえずるように僕たちは
知っているけどまだ生まれない
気配に名前をつけた








2023年8月20日日曜日

夏だから

夏が来る

君のいた夏が来る

春のあとに

秋のまえに

冬を思い出すように


夏が来る

君といた夏が来る

笑ったあとに

泣きだすまえに

虹を見つけたように


まだ、愛というものがわからなくて

誰かといるのがもどかしくて

明日はもっとこの世界と

仲良くやれるだろうか


月日が季節が時間が

ひとりだけで過ぎてゆく

ひとりでに過ぎてゆく


愛する愛を持っている

夏だから君を愛する愛を持っている



2023年7月25日火曜日

夜の田園

 乗り過ごした駅

一駅歩いて

タクシーもなく

帰った

田園の夜の

月明かりの射す

あぜ道の

ひとりではない時間

誰もが通り過ぎた門の

丸みのある地平の

歩く私をみていた

予定にない

予定された豊かさに触れて

私は歩いて帰った

2023年7月24日月曜日

愛をレッツゴー

愛をレッツゴー

愛をレッツゴー

愛をレッツゴー

愛をレッツゴー


ポメラニアン抱えた

かわいいねえちゃんのあんよ

酸素充満してる公園にポップアップ


俺のリビドー電気コイル

欧米に慣らされた煩悩開花

鼻の奥にピックアップ


ここが爆心地

ジェネリック薬品バリバリ噛んで

健康第一 パッチワーク


栄養一番

遠洋漁業

エンジョイマンボー

愛をレッツゴー


彼らは湖で暮らした

ソローソローヨーソロー

伝統的な公衆浴場


愛をレッツゴー

愛をレッツゴー

愛をレッツゴー

愛をレッツゴー



2023年3月24日金曜日

よく働いた一日の終わり
思わぬ詩集がポストに届いて
その詩の言葉の含む景色に私は泣いた

2023年2月27日月曜日

会いたかったのだけど

天気が良すぎて

夢のつづきみたいで

怖かった


2023年2月4日土曜日

遠くでカナリアがなく

叫ぶのか呼ぶのか

誰を誰かを

流れてくる言の葉と

空気と

あなたの記憶

ああ、

私は

立ちたい

私は

立って歩きたい


季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす