poem on chair
2010年4月15日木曜日
出航叙景
穏やかな潮風に
船首からのびる万国旗がたなびき
白い体を静かな入り江に横たえて
時のくるのを今か今かと伺う船
好奇心にしびれる乗客と
汗にまみれたクルーが船の血となり
駆け巡る
愛する人の紙テープが
磨きこまれた甲板の上を
どこまでもどこまでも転がりつづけ
空行くかもめの道しるべとなる
錨が引き上げられ
合図のドラが鳴り響き
白い体が波の招きにあわせて
沖へ沖へと吸い込まれていく
汽笛が鳴る
日常を区切る
汽笛が鳴る
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雪が降る 柔らかに雪が降る 昼も夜もこの街に 雪が降る 足跡が道についている 誰かが歩いた跡 私も歩く 雪の中を 優しい雪の中を
傘
雨が降ると天気予報で聞いた 傘を持って出かけた でも、雨はぼくが屋根の下にいる間に降って だから、ぼくは濡れた路上の上を傘を持って歩いた ビルの間から木漏れ日みたいに陽が差して ぼくの世界はまっ白になったんだ それで、ぼくは持っていた傘を開いて 歩いたんだ ...
痕跡
誰が来たのか 誰が去ったのか それはなんとなくなくなる なにがあって なにが終わったのか その痕跡すらなんとなくなくなる 私も誰かから この世界から なんとなくなくなっていく