2011年10月28日金曜日

青い服

体が砕けては 服は
着れない

青い服に包まれて
どこかへ運ばれていく

体が砕けては 何も
言えない

無言に包まれて
どこかへ運ばれていく

中央線のある日のホーム

2011年10月21日金曜日

はかないものに
頼ろうとするとき
私がいる

消えていきそうなものに
触れているとき
私がいる

星や月
ましてや
太陽なんていらない

あなたがいれば
私がいる

2011年10月13日木曜日

高円寺恋歌

知らない街歩いて メグミの香り探してた
春はいつも先まわり 思い出が鼻先かすめる

知らない花見つめて ユミコの姿探してた
夏はいつも遠い空 ずぶ濡れの髪乾かした

知らない店長居して サユリの気配探してた
秋はいつも夕暮れの予感 長い影路地に伸びた

知らない歌聞いて ケイコの言葉探してた
冬はいつもかくれんぼ 静けさがこの街つつんだ

知らない人愛して 君の仕草探してた
僕はいつも君の中 君はいつまでも僕の中  

この道だね 君に触れて 心あふれ
この季節さ 甘い記憶 さよならだね

桜の部屋

桜の見える部屋
けんかしたり お酒飲んだり
抱き合ったりして過ごします

行く時は行ってらっしゃい
帰ってきたらただいま
ご飯の時はいただきます

声とか呼吸とか気持ちとか
壁やドアに染み込んで
あったかい部屋になってきました

遠くに旅するときも
落ち着くところはこの部屋に似たところ

春、桜の花びらが洗濯するとき入ってきた
去年の思い出と一緒に

表に出て
桜の木の下歩いてみる
江戸の人も歩いたように
桜の木の下佇んでみる
僕らの子供の佇むように

しばらくして
ちぇりーしゃわーが注いできた

ビールとバーボン

俺から去っていった女のマボロシが
今夜も俺をゆすって眠れやしない
ビールをだらだらして、タバコふかふかして
ウエイトレスとベットに入ることを考える

可愛いアンヨに手をはわせ
悶える姿眺めて首すじにキスを浴びせる
バスルームでシャワーを全開にして
尖った乳房をすいまくる
冷たい毛布へ入り込んで
モルモットみたいに激しく転がり
春の芝生みたいに温める
香るのはビショップとシュートの臭い
ドクロに塗ると命が宿るって聞いたことある
眠る女の横顔に天使だとか女神だとかの
西洋から渡ってきた幻影重ねて
腰のクビレに弥勒菩薩のちょっとした悩みを発見
ホクロのある白い尻に耳をあてて
俺の同士がしっかり働いているか監視するんだ
俺が長くソンザイできるかどうかの大切な大仕事
星だって見守っているし
嘘っぱちのネオンも通り過ぎて
ダンボールで作り上げた月だって
ナイトだって見つめてる

働け同士!
働けど同士!

夢やモウソウの中だって真面目にやるんだ

ウエイトレスがやってきて
だらしなく胸のはだけたシャツの隙間から
おかわりはどうですかと聞く
ちくしょう、うらでコックとサックしてやがったな
俺はバーボンを頼んだ

2011年10月6日木曜日

君が

眠る君を見てる君を読んでる君に
触れる君を思う君を呼んでる君に
捕われた君を描く君を撮る君が眠る

雪が降る 柔らかに雪が降る 昼も夜もこの街に 雪が降る 足跡が道についている 誰かが歩いた跡 私も歩く 雪の中を 優しい雪の中を