2020年8月30日日曜日

ファンタジー

ゆうべが紫の煙になって昇る
正しい黄色がどこにあるかを
双眼鏡で見つめながらいる
レンガ造りの小さな家に
ヤギが繋がれている
獲物を狙う竜の群れが
のぞいている
繰り返しの効かない魔法が
また一つ唱えられて
あとかたもなく事実が消える
魔法の音たちは
常にあり続けることで
その意味を消していく
森が暗闇の中でなく
夜明けをまつ



2020年8月18日火曜日

幻聴

永遠を記す途中しぶきが水平線を隠して
呼吸の出来ない深海へと誘う
西瓜のビーチボールが
転がり来て去り行きながら
溶けた氷の中からこちらを見つめている
灼熱のカーテンが
我らを奪おうとして包み込む
いつかの夏の幻聴が
砂浜に落ちている
私は耳をあてて
それらのつぶやきを聴いた

2020年8月15日土曜日

アローさんへ

 8月13日

きょう東京では雷が落て雨が降り

その後大きな虹が出て消えそうにありません

昼、私は冷やし中華を食べましてね

自転車で塾へ向かう子どもらがいます

エコバックを下げたおばあさんがいます

そうそうレジ袋は有料になりました

安倍政権は続いていてマスクが配られています

セミがやけに鳴く夏で電車の中にも紛れ込んでいます

オリンピックは来年だそうです

コロナって知ってますか?


短い言葉であなたならどう記したでしょう


あなたの見たかった今日を

あなたの愛した歌い手たちが謳っています

消えそうにありません、届きますでしょ、虹を伝って


セイハロー ミスター、マスター、アロー

ペンギンと散歩しながら詠んでいますか

セイハロー ミスター、ポエット、アロー

歌に生まれ変わりましたね

セイハロー ミスター、エンジェル、アロー

ハイボール、お代わりお願いします


2020年8月11日火曜日

夏の夕暮れ

ゆれている来たみち
帰るみち

いつかの夕暮れは短い

笑い声と歌声と
景色に溶けて
まぼろしみたい

高架橋に
西行きの電車が通り過ぎて
川を渡る

ゆれている
ひまわりとぼくたちと
水面と

季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす