2014年6月22日日曜日

夕立

着付けたばかりの
水玉のブラウスに
夕焼けが落ちて
ふくらむ胸がすける

三ブロック先の角を
右に曲がります

情熱という名の
毎日が
コインロッカーから
取り出されるのを待っている

水飲み場で
思い出した懐かしい風
つないだ手のひらから
吹き出した

木々がさわぎ出して
もうすぐ
夕立がくる

2014年6月21日土曜日

後だしじゃんけん

サッカーでも政治でも震災でも
起こった後になにかを言うのは
後だしじゃんけん
誰も負けたくないから
起こったことに何か言い出す
先回りして食い止める人たちは
イマジンを現そうとする人たちは
何も言わずに手を動かしている
何も言わずになにか手段がないか考えている
起こったことに心を痛めながらも
けして奪われはしない
後だしじゃんけんで
わめく人たちは
勝ったつもりで偉そうに
あきらめている

2014年6月17日火曜日

老いた父

老いた父が
癌が再発したら
延命はやめてくれと
いった
生きていることが
もう
そんなに楽しくないのかも
しれない
老いて独りで
満足に生活が出来なくなっている父
私もいつの日か
老いるだろう
生きていることが
そんなに楽しくない日も
来るだろう
私はせめてそれを
正直につづり
父を思い出そう
元気を出せと
うまく言えない

アフォガード

茶店で宮崎君が何か食べるものありますかと聞いた
シフォンケーキとアフォガードがありますと店員が答えた
アフォガードーってなんですかと宮崎君が聞いた
アイスとケーキに珈琲をかけて食べるデザート店員は言った
僕は最初アホガードと聞えてアホをガードする食べ物か
などど考えていた。
宮崎君はシフォンケーキとコーヒーを頼み
僕はオレンジジュースにからアフォガードに変えてみた
アフォガードを検索するとイタリア語で溺れるという意味だった
アイスが浸かって溺れることなのだ
コーヒーに溺れてぐずぐずになったシフォンケーキ
コーヒーに溺れてどろどろになったアイス
倦怠に溺れてぐだぐだになっていくライフ
自分を思った
口当たりが甘苦く
溺れる
自分を思った

2014年6月12日木曜日

レイヤー

銀の灰皿に吸い殻の林ができた
締め切りをとおに過ぎた
完成する予定だった一反の着物
作り上げてゆくこの精神に
栄養ドリンクを何本も流し込んで
指先よ動け動けとわめくが
立ち上がるのはいたいけな一物
触っては慰め涙を流し
回転する針のゆくえ
開けた窓から冷たい風
積み重なる数字
また朝になれば自転の遠心力で
はじき出された肉体に
生き生きとした不安が降り注ぐ
夜が明るすぎる
白々とした蛍光灯が奪っていく
呪うべきものはなにもない
むず痒くただれたこの部屋から
別のレイヤーに移行するため
砕く砕く砕く
濾す濾す濾す
砕く砕く砕く
濾す濾す濾す・・・

2014年6月10日火曜日

無敵艦隊

僕の命が尽きるまであとどれくらい
好きな人と過ごしたい
僕にしかできないことをしていきたい

この人を好きかもしれないと思うとき
これは僕にしかできないことと思うとき
この人を愛しているのかもしれないと思うとき
僕にしかできないことをしているとき

体中の無敵艦隊が出動する
どこへでもどこまででもいける
尽きぬ突き抜ける
無敵艦隊が出動する

2014年6月5日木曜日

朝焼けがどこまで届く

朝焼けがどこまで届く
忘れたいくらい
ぼんやりとした
よくわかんなかった夜
投げ飛ばしたよ

今夜、君といらんなかった
愛なんてことば吐き捨てた
うまく、うまく言えなった

終電乗り過ごして
いくあてなかった
ぴらぴか行き

キスしたらよかったですか
わかんなかったですけど
それでよかったです
いみなんてしらなくて
よかったです

ほんともわかんないから
君を愛せたから
なんにもないことで
君を愛せたから

君のやさしさが
眩しい

雪が降る 柔らかに雪が降る 昼も夜もこの街に 雪が降る 足跡が道についている 誰かが歩いた跡 私も歩く 雪の中を 優しい雪の中を