2013年9月29日日曜日

風と共に

夏の終わりは
恋の終わりに
にて―向日葵

春は始まり
秋は予感
冬ははぐぐみ―こよみ

真夏に憧れて
私もまた
季節を巡る―風と共に

青春

胸の高鳴り
それはつまり
青春

2013年9月23日月曜日

2013年9月22日日曜日

ふと、触れた、見知らぬ人の音と言葉より想起した、ひとつの言葉

触れる世界のかけらを記していくことで移ろい
そのもの、あるいは全く違う何かとして
誰かの心に浮かぶものがあるのかもしれない
いつくしい言葉として、あるいは音として。

2013年9月19日木曜日

ようこそゲームへ

ようこそゲームへ

戦い 獲得
戦い ダンジョンクリア
戦い 新しいステージです
戦い 獲得

レベルアップ 合成
レベルアップ 進化
レベルアップ 合成
レベルアップ 進化

戦い レベルアップ
戦い レベルアップ
戦い レベルアップ

データが消えました

ようこそゲームへ

戦い 獲得
戦い ダンジョンクリア
合成 進化
戦い レベルアップ
戦い レベルアップ・・・

おめでとうございます
あなたは最後のダンジョンをクリアしました
おめでとうございます
あなたのレベルは最高に達しました

あなたのプレイ時間は
26万2千8百時間です。

ようこそ新しいゲームへ

戦い 獲得
戦い ダンジョンクリア
戦い 新しいステージです
戦い 獲得

レベルアップ 合成
レベルアップ 進化
レベルアップ 合成
レベルアップ 進化

戦い レベルアップ
戦い レベルアップ
戦い レベルアップ

データが消えました

ようこそ新しいゲームへ

戦い 獲得
戦い ダンジョンクリア
合成 進化
戦い レベルアップ
戦い レベルアップ・・・

おめでとうございます
あなたは最後のダンジョンをクリアしました
おめでとうございます
あなたのレベルは最高に達しました

あなたのプレイ時間は
52万5千6百時間です

ようこそまったく新しいゲームへ・・・

2013年9月18日水曜日

九月のソネット


月の光が届くように

誰かを照らすものであればと

伏し目がちに呟いて

鋭く震える芯をにぎりしめて

明日へ明日へと

羽衣をひるがえしながらかけてゆく

 

夜の林道に唄う鈴虫らを

夜明けまで浮き上がらせて

 

立ち上がる雲に遠雷を聞きながら

パラソルを見つければ拾い上げ

雨よ降れ!と投げつける

降りだした雨粒に打たれながら

言葉をしみこませては

七色の虹を空にかける

 

赤い長靴を履いた少女を

いつまでも胸に抱いて

2013年9月16日月曜日

嵐の中のプルースト

雨だというのに行くのですね
嵐だというのに行くのですね
道がないというのに行くのですね
独りだというのに行くのですね

行ってらっしゃい
お気をつけて
まだどこかで

雨だから行かないのですね
嵐だから行かないのですね
道がないから行かないのですね
独りだから行かないのですね

行ってきます
ありがとう
いつか帰ります

台風で空がうなる中
部屋の中で僕は
プルーストの「失われた時を求めて」を読む
ヨーロッパの家の寝室のベットの上の男の
記憶を食べるようにたどるのだ
終わることなど忘れたかのように

行ってらっしゃい
ありがとう
またどこかで




2013年9月15日日曜日

雨の朝にふさぐ

雨降る朝の街並み
さまよえば
同じベクトルの延長線上に
まよいこんだ
忘れられた梨の片隅
すなわち実存が
耳を澄ませて
わずかな風の音を
聴いている
昨日の胸があたる
明日の温度が伝う
生々しさを乗り越えられず
記憶が世界をふさいでいく

2013年9月7日土曜日

西陽

西陽が
君の
顎下の
そよぐ
産毛を
透かして
いる

君は
気づいて
いない

西陽
ついて


2013年9月5日木曜日

夏のあいだ鳴いていた蝉らが
腹をむき出しにしてそこかしこ
息絶え絶えに羽をばたつかせ
路上に溝に落ちている

もう飛べぬ

しがみつく幹もない
蟻が集まり体を運んでゆく

喰われている

蝉という存在は失われながら
軽さに包まれ浮かんでゆく
集合体としての鳴き声が
再び巡る夏の幻影をつくっている

季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす