2021年3月22日月曜日

その光は少し前のこと

住み慣れた部屋へ

新しい傘が赤い傘がきて

そして雨が降った

日々の物語が流れ出して

羽が浮かぶ

その跡をたどって僕らは森の中へ

ざわめく木々が覆い被さる

泉へ抜けることを

知ってるフクロウがなく




2021年3月12日金曜日

 光速音速を超えて離されていく

光速音速を超えて近づいていく

記憶は失われ新しい記憶が入り込んでくる

終わりは始まり始まりは終わり

それでも留めようと留まろうと作り上げていく

静かな叫びは残り続ける

静かな光は輝き続ける

朽ちていく私の肉体に反して激しく震える魂が走り出す


2021年3月6日土曜日

アイラインを引いて誰かになる

知らない服を着て誰かになる

同じ動きを繰り返して誰かになる

息を潜めて暗闇に光の差すのを待つ

見慣れたはずの場所が遠い街の蜃気楼

彼らは別の誰かとして語りくる

ほんのわずかの時間、私は嘘になる

ほんのわずかの時間、私は誰かの真実になる

 夕暮れのもたれかかる/日に数本の路線バス/地方都市の湖畔沿いをゆく/春を待つ並木の枝が空に乞う/目的の停留所より少し前で下車する/名も知らぬ人々とすれ違う/もう会うことのない人々とすれ違う/私もまた彼らの景色//

  ああ、優しい世界が 花の美しい佇まいが 現れる 言葉はそうして歩く 染み付いて歌う そうして染み付いてゆく 慣れ親しんだ冬 浮遊 ぼくはあそびたい みんな知っている 君は誰かのもの 君の瞳に僕がいる 君がいる 美しい君がいる 世界が君を現し...