2015年2月27日金曜日

小雨が降っていたよ226

小雨が降っていたよ226
米軍基地の周りを自衛隊が哨戒していたよ
15人編成で一個小隊
何の練習かな
いつもは北高の生徒のランニングコースで
100メートルおきに何百人
何してるのかな?
ダイエットのための散歩じゃないね
野草の観察でもないね
まじまじ見てたら
隊員の数人と目があったよ
同級生のまっちゃんじゃなかった
幼馴染のともくんじゃなかった
もし
一緒に詩を書いたノモトさんとかいたら
僕は何を言っただろうな

見知らぬ隊員が小雨の中を
誰かの友人であろう
見知らぬ隊員が
小雨の中を歩ていった
命令で

僕はその目を忘れない

2015年2月26日木曜日

まだなにものでもない

まだなにものでもない
冷蔵庫の音
蛍光灯の光
台所のテーブルに投げ出された箸
夕食が行われていた
珈琲を一口
10年前に買ったパソコンの前
私は何をしてきたのか
私はこれから何をしていくのか
出会った人を愛したこともあった
誕生日を忘れたこともあった
忘れていても動いているこの体
父と母が出会ったことで私はいる
水滴があつまり
水溜りとなり
流れ出して
やがて川になり
海へと還るように
私もまたどこかへいつか還るだろう
その私がいたことを
覚えていてほしいのか
そんなことどうでもいいのか
存在が消えて残された
文字ばかりが
写真ばかりが
それらの人よりもこの世界に長くある
愛する者を詩にして
残す
それは醜いこと
終わって
過ぎ去ってしまったもの
見えない感情は
もうとうに霧散して
どこにもないのに
その器だけがあふれている
それが世界を構築して
それを足掛かりにしなければ
なにもわからない
遠い所にいる
君は誰
この器をみて
ぼくのことがわかりますか?
ぼくは君に話しかけるだけ
おなかが減ってきて
ぼくは冷蔵庫から
冷凍チャーハンをだして
電子レンジであたためて
口のなかへほおりこむ
その時歯ですりつぶした
米が
味を生んで
薫りを生んで
いる
近づけて
生む
この器を
つくりつづけて
ぼくはいったい
なにを生むのか

問いかけている
なにも
考えていない
続く言葉を
つくっているだけ
それが。。
それでいいんだ
それだけで
いいんだ
おかわりだ
つぶれて
はじめて
うめる
あるから
つぶれることが
できる
あらしめること
それだけが
あらしめられること
それが
うみつづけること

国境

僕の住む町に国境がある
2メートルほどの金網で仕切られた国境
鳥がその金網に止まって休んでは飛び立ってゆく
夕陽が金網越しに差し込んで道に影をつくる

船で旅をした時、海の上には国境はなかった
地図でみたような線は書かれていなかった
でも移動するごとに持っていたパスポートに
カラフルなスタンプがたくさん押された

言葉の通じない異国の地で
真っ黒な、白い肌の人々
カタコトでツタエアウ
ワタシハカレラニドウミエタロウ

ここでは自分と違う人を排除している
分かり合えないものは排除している
よくしった安全な幻の中に身を置いて
卵のようにつるんとする

ここは収束しようとしている
膨らみ続けた世界が
間もなく収束し出して
光の一点に戻りはじめる

閉じた光の中で
暗闇を広げて
到着を待つ
岩戸の前で裸になるのは誰か

岩畳が見える
境目から水は流れてゆける
そのたどり着いた先は海
深海に沈んだプランクトン

0と1で構成されたブランクは
トランクの中で発酵し始めて
祈りの臭気だけが
漂っている

そうしてようやく越えてゆくことが
出来るのかもしれない
存在をすてて
そうしてようやく越えてゆくことが
出来るのかもしれない




2015年2月24日火曜日

僕も混ぜてくれ
その旅路に
そうしたら
忘れられるだろう
ビロウドの
哀しみのことを

2015年2月20日金曜日

水の記憶

その日、雨が降っていました
その雨はどこからやってきたのかわかりません
僕の前で地面に落ちて混ざりました

人が通り過ぎました
その人はどこからやってきたのかわかりません
僕の前を通り過ぎて行きました

光が木々を照らしました
その光はどこからやってきたのかわかりません
僕は最近会った人々を思い出しました
その記憶がどこからやってきたのかわかりません
光と記憶はどこかへいきました

みんなどこかへいってしまいます
かなしくてシャッターを切りました

雨であった日
友人の展示を観にいきました
海みたいでした
海がみたくなって
海へいきました

地面にまざった雨は
海に
ここに
あるのかもしれません

しばらくして僕はそこを立ち去りました

願えばまたどこかで
会えることがあるのでしょうか
会えるほどに強く
願えることがありますでしょうか

たたずんでいても押し流される
いのちの環のなかで
呼吸のあったことを
愛おしく持ち続けたい

親愛なるものたちよ
さようなら
どうかお元気で

僕は元気です

2015年2月11日水曜日

いつかのどこかの

もう日が暮れそうだよ
もうすこし
ほら寒くなってきたし
もうすこし
なにしてるの
みとどけているの
なにを?夕陽?
終わりを
今日の?
ううん、永遠の、あるいは始まりの
ありがとうだね
そう、ありがとう
来るかな?
来るよ。
もすこし
そう、もうすこし

いいかな
いいよ
もすこし
いいよ

鐘がなるよ
うん
きっと鐘がなるよ
うん
わかるように
誰にもね
うん

もうすこし
もうすこし

もうすこし
もうすこし

ありがとう
ありがとう

ありがとう
ありがとう

2015年2月4日水曜日

昨日今日明日

昨日は昨日
今日は今日
明日は明日

昨日生きていた人は
今日死んでしまい
今日いなかった人が
明日生まれる

昨日なかったものが
今日あって
今日あったものが
明日なくなる

昨日は昨日
今日は今日
明日は明日

忘れたいこと
忘れたくないこと

大切な人たちと
ただ過ごしていたい

昨日は昨日に
今日は今日に
明日は明日に



シエスタ

春を通り過ぎる風が
昨日を遠くに運んで
明日を咲かせているね

土の匂いがして
街が見えたら
踏みしめて行くんだ

景色を抱きしめて
空を見上げている
少しの間のシエスタ

この丘の上にも
君の住む街にも
少しの間のシエスタ

2015年2月3日火曜日

マウントフィルム

過ぎ去った時間をつまんで
光にさらしてあの日の景色を眺めている
答えを知った子供のように
からだから声がして汗がにじむ

2015年2月2日月曜日

雪が降る 柔らかに雪が降る 昼も夜もこの街に 雪が降る 足跡が道についている 誰かが歩いた跡 私も歩く 雪の中を 優しい雪の中を