2018年2月20日火曜日

白い紙たちの
沈黙が呼びかける
記されるべき言葉の
描かれるべき線の明日は

この呼吸の
この血の
この時の
先にあるだと

おはよう
わたしはあなたと過ごせて
どれだけしあわせかわかりません

確かなこと
それだけをまず記す

虹が部屋にはいり込んできた
いつかあなたにもみせたい
放物線が空と地面を分けていた
呼吸を整えながらもたれかかる君を
白い窓辺からみていた
許された時間のわずかなのを知る
階段の格子の影が移ろうのに似て

2018年2月9日金曜日

さらばあたえられん

あかるいひざしのかなで
わたしはきょうもいきていることをしる
でんしゃのゆくおとがする
つけたままねていたでんとうがついている
まちでびるをたてるおとがする
そこにはだれかがいて
わたしもそこにいるのだ
なつかしいひとたちにあうゆめをみる
のこされたしゃしんが
そこにわたしのいたことをしょうめいする
まだふざいのあしたやみらい
かつてふざいだったいくたのじかんやばしょ
こたえをだれもよういしてはくれない
のどがかわいた
わたしはきょうもいきていることをしる
もとめよさらばあたえられん

2018年2月1日木曜日

絞り5.6 速度1/125

もたれ掛かりくる君の腕に
1月の雨の雫おちる
透明な傘さしてほお赤らめる君に
夕暮れの刻のおちる
絞り5.6 速度1/125

鳥取

真っ白な雪が朝目覚めると景色を覆いつくして
その中で屋根のあることを思いながら
湯を沸かして朝食の準備をする
米とみそ汁シシャモに納豆、卵。
じょりじょりしてる雪道と鷲の羽ばたくような山並み抜けて
小学校の校庭、雪に埋もれた電気自動車。
鳥の置物がたくさんある廊下。
腰丈の灯油ストーブ。黒光りするリノ
白いスクリーン。ラジオ体操。
声、声、身体、身体、真実、真実、虚構、虚構
夕暮れ、月夜、鍋、下着、台所、やかん、お菓子、カレー
イラスト、結婚、ゴリラ、200円、ぼんやり
一軒家に偽物の親戚

あぁ、美しさとはつまり欠如

『夕暮れ』

さかさまの
天井が黄色キャンバスに
描かれて行く
予定された
シュークリームの甘さ

かなたのこと
とどく光の道筋
溢れてくる
美しい言葉だけを
紡いでいく

反響する
時間たちが
ほらまたそこここで
睦びあう


埋もれていた古い手紙コーヒーの滴が花もよう
湯舟に頭の先まで浸かって
あの日のことばを泡にする
ー雨が好きだー
巡りゆく季節の雨が弾けるたび
私も見知らぬ誰かの声を聴く

季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす