2009年4月27日月曜日

男子学生

赤い髪の男子学生が
電車に乗ってきた
真似たのか
主張したいのか
ニキビの吹き出た顔の上に
帽子のような赤い髪
威嚇しているのか
警戒しているのか

人との距離や
人との対話に
恥ずかしくなって
髪の先まで赤く染まる
男子学生

窓から街並みを眺めている
私は彼に私を見ている

わたしはそれより

記した詩が
人の心に届き
一瞬の清涼となるならば
私はそれより何を望もうか

記した詩が
人の心に届き
一瞬の情熱となるならば
私はそれより何を望もうか

人が私に触れて
心をほぐし放ってくれる
私は放たれたまま自由にさせて
漂うのだ
私はそれより何を望もうか

新聞

毎朝何万人という人が
インクの匂いを嗅いで吐き出している
そこに殺人や巨人戦の結果が添付されている
八百屋で白菜が安いとかインクに乗って
鼻から脳に伝わってわかるのだ
新聞はにおいで出来ている

白い花

白い花庭先に静かにあり
戻らず出て行く私を見送る
気にもしなかった風景が
さよならとばかりに主張している
四月の夕暮れ

2009年4月16日木曜日

音楽

あなたの奏でる音楽をどこかで聴けるその日まで
音楽は余興

太陽

太陽はあたたかい
そしてやさしく体を目覚めさせる
太陽はつつむ
そして張りつめた不安を拭い去る
太陽、太陽よ
君に焼かれるのなら僕は何もいうまい

三鷹

生まれて恋して笑って泣いて
書いて死んだ作家の街三鷹

自分を見つめてたまねぎの皮みたいに
何にもなくて自分から出たのに
皮がまるでうそみたいに感じた
作家の住んだ街三鷹

整備され静かになった街並み
恋して心燃やして生きたのだ
僕の住んだ街三鷹

2009年4月11日土曜日

桜の季節に

わずかなときだけ咲く桜
また会えるのかと眺めてる
隣に笑う家族や友や恋人ら
また会えるのかと眺めてる

花は散ってしまうけれど
花はなくても桜は桜
宴は終わってしまうけど
家族や友や恋人は明日も
家族や友や恋人で私は私

時は過ぎ去り生きる私らも
空を桃色に染める桜も
いつかは光と影になるけれど
再び巡り森羅万象の種子となり
再び巡りあなたの傍らの花となる

再び巡りあなたの傍らの花となる

2009年4月9日木曜日

オーダーメイド

愛したものにも
愛せなかったものにも
愛された私にも
愛されなかった私にも
どこまでも等しく
オーダーメイドの肉体がつきまとう

2009年4月8日水曜日

2009年4月5日日曜日

とても幸せ

寝るとこがあって
食べるものがあって
着るものがあって
うたたねしてる家族がいて
とても幸せ

風が吹いて
木々がさわさわゆれて
陽が差して
シャワーをあびる
とても幸せ

珈琲を飲んで
美術館に行って
大好きなあの子に
手紙を書いた
とても幸せ

桜の木の下で香りをまとい
海の音につつまれ
実りをほおばり
雪の花を眺める
君の暖かさを確かめながら
とても幸せ

そんな風に
日々が穏やかに流れて
おじいちゃんになって
やっぱり誰かのそばで
心静かにいるんだ
とても幸せ

涙がでるくらい
とても幸せ

2009年4月2日木曜日

善人だということ
真面目だということ
やさしいということ
裏切らないということ
悲しくないということ
寂しくさせないということ
逃げないということ
いつも微笑むということ
忘れないということ
争いがないということ
人が分かり合えるということ
平和だということ
愛しているということ
幸せを感じるということ

すべて嘘
すべて望んでいることだから

雪が降る 柔らかに雪が降る 昼も夜もこの街に 雪が降る 足跡が道についている 誰かが歩いた跡 私も歩く 雪の中を 優しい雪の中を