2014年9月29日月曜日

ブラックホールが
宇宙を飲み込んでいるそうです

光があって世界を知れるのは
闇があるからです

悪意があるわけではなく
そういう性質なのです

深い闇があるからこそ
輝かしいのです

激しい喜びは
世界に穴を開けるのです

2014年9月12日金曜日

駅前広場


強い日差し
に照らされて倒れて動かない男
その横に喫煙所
男の存在がないように
喫煙所に出入りする人々

一人の青年が男を見る
しばらく立ち止まる
男を見る

そして喫煙所にいく
青年は煙草を吸う
吸い終わる
男の横を通って
男を見ることなく
立ち去る

青年は交番に立ち寄り
「広場に男の人が倒れています」
「ああ、ああしていつも休んでいるんだよ」
と警官は言った

青年は改札を抜けてどこかへ向かった
車窓から風船が飛んでゆくのが見えた
喫煙所からは煙が絶えることなく昇っている







2014年9月1日月曜日

夏の終わり

50センチくらいだったか
触れられる距離で君が何か話している
見つめるだけで言葉や時間が通り過ぎてゆくね
君が思いを馳せるところがどんなところなのか
先回りをしてつかまえたいよ
セミとコオロギが鳴きはじめる夏の終わりに
消えてゆく君のかけら言葉抱きしめた


雪が降る 柔らかに雪が降る 昼も夜もこの街に 雪が降る 足跡が道についている 誰かが歩いた跡 私も歩く 雪の中を 優しい雪の中を