2013年9月16日月曜日

嵐の中のプルースト

雨だというのに行くのですね
嵐だというのに行くのですね
道がないというのに行くのですね
独りだというのに行くのですね

行ってらっしゃい
お気をつけて
まだどこかで

雨だから行かないのですね
嵐だから行かないのですね
道がないから行かないのですね
独りだから行かないのですね

行ってきます
ありがとう
いつか帰ります

台風で空がうなる中
部屋の中で僕は
プルーストの「失われた時を求めて」を読む
ヨーロッパの家の寝室のベットの上の男の
記憶を食べるようにたどるのだ
終わることなど忘れたかのように

行ってらっしゃい
ありがとう
またどこかで




0 件のコメント:

季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす