2015年2月26日木曜日

まだなにものでもない

まだなにものでもない
冷蔵庫の音
蛍光灯の光
台所のテーブルに投げ出された箸
夕食が行われていた
珈琲を一口
10年前に買ったパソコンの前
私は何をしてきたのか
私はこれから何をしていくのか
出会った人を愛したこともあった
誕生日を忘れたこともあった
忘れていても動いているこの体
父と母が出会ったことで私はいる
水滴があつまり
水溜りとなり
流れ出して
やがて川になり
海へと還るように
私もまたどこかへいつか還るだろう
その私がいたことを
覚えていてほしいのか
そんなことどうでもいいのか
存在が消えて残された
文字ばかりが
写真ばかりが
それらの人よりもこの世界に長くある
愛する者を詩にして
残す
それは醜いこと
終わって
過ぎ去ってしまったもの
見えない感情は
もうとうに霧散して
どこにもないのに
その器だけがあふれている
それが世界を構築して
それを足掛かりにしなければ
なにもわからない
遠い所にいる
君は誰
この器をみて
ぼくのことがわかりますか?
ぼくは君に話しかけるだけ
おなかが減ってきて
ぼくは冷蔵庫から
冷凍チャーハンをだして
電子レンジであたためて
口のなかへほおりこむ
その時歯ですりつぶした
米が
味を生んで
薫りを生んで
いる
近づけて
生む
この器を
つくりつづけて
ぼくはいったい
なにを生むのか

問いかけている
なにも
考えていない
続く言葉を
つくっているだけ
それが。。
それでいいんだ
それだけで
いいんだ
おかわりだ
つぶれて
はじめて
うめる
あるから
つぶれることが
できる
あらしめること
それだけが
あらしめられること
それが
うみつづけること

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季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす