2015年2月20日金曜日

水の記憶

その日、雨が降っていました
その雨はどこからやってきたのかわかりません
僕の前で地面に落ちて混ざりました

人が通り過ぎました
その人はどこからやってきたのかわかりません
僕の前を通り過ぎて行きました

光が木々を照らしました
その光はどこからやってきたのかわかりません
僕は最近会った人々を思い出しました
その記憶がどこからやってきたのかわかりません
光と記憶はどこかへいきました

みんなどこかへいってしまいます
かなしくてシャッターを切りました

雨であった日
友人の展示を観にいきました
海みたいでした
海がみたくなって
海へいきました

地面にまざった雨は
海に
ここに
あるのかもしれません

しばらくして僕はそこを立ち去りました

願えばまたどこかで
会えることがあるのでしょうか
会えるほどに強く
願えることがありますでしょうか

たたずんでいても押し流される
いのちの環のなかで
呼吸のあったことを
愛おしく持ち続けたい

親愛なるものたちよ
さようなら
どうかお元気で

僕は元気です

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季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす