2014年6月12日木曜日

レイヤー

銀の灰皿に吸い殻の林ができた
締め切りをとおに過ぎた
完成する予定だった一反の着物
作り上げてゆくこの精神に
栄養ドリンクを何本も流し込んで
指先よ動け動けとわめくが
立ち上がるのはいたいけな一物
触っては慰め涙を流し
回転する針のゆくえ
開けた窓から冷たい風
積み重なる数字
また朝になれば自転の遠心力で
はじき出された肉体に
生き生きとした不安が降り注ぐ
夜が明るすぎる
白々とした蛍光灯が奪っていく
呪うべきものはなにもない
むず痒くただれたこの部屋から
別のレイヤーに移行するため
砕く砕く砕く
濾す濾す濾す
砕く砕く砕く
濾す濾す濾す・・・

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季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす