2009年5月20日水曜日

無力

風が吹いています ここには
光が注いでいます ここには
音がします ここには

明るいところは暖かく
大きな木の下は涼しい
人のいるところは安らぎがあり
空のあるところは穏やかで

黄色い花も赤い実も
みんなそれを知っているけど
人だけがそれを忘れて
愛という名で
やさしさという名で
正しさという名で命を奪う

僕の詩にもう少し力があれば君は
死ぬことはなかったかも知れない

せめて名前をつけるよ
『風』と
この星では風が吹いていて
そのたびに君を思い出すために
風のとても強い日に死んだ君のために

風が吹いて『し』が生まれて・・・
ああ、しかし、いくら積み重ねても僕のは
レクイエムにもなりはしない

2 件のコメント:

悠祈 さんのコメント...

いのちを見つめ
こころに触れて
ことばに託して
いのりを捧げる

風の巻く悲喜こもごもの想い
『し』によって何が過ぎ去り
『し』によって何が生れくるのか

我が身を吹き抜ける風の声に、知らずに耳を傾けたくなる作品です

Takehiko Kurokawa さんのコメント...

>いのちを見つめ
>こころに触れて
>ことばに託して
>いのりを捧げる

ああ、これすごく響きました。

この詩は書きすぎた気もしますし
書き足りない気もしていて。
とにかく書きたかったのと
そのとき風が強く吹いたということなのです。

見てくださってありがとうござます。

季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす