2014年9月12日金曜日

駅前広場


強い日差し
に照らされて倒れて動かない男
その横に喫煙所
男の存在がないように
喫煙所に出入りする人々

一人の青年が男を見る
しばらく立ち止まる
男を見る

そして喫煙所にいく
青年は煙草を吸う
吸い終わる
男の横を通って
男を見ることなく
立ち去る

青年は交番に立ち寄り
「広場に男の人が倒れています」
「ああ、ああしていつも休んでいるんだよ」
と警官は言った

青年は改札を抜けてどこかへ向かった
車窓から風船が飛んでゆくのが見えた
喫煙所からは煙が絶えることなく昇っている







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季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす