poem on chair
2014年4月11日金曜日
情景(下)
何も残したくないといった友人がいた
カメラを向けると嫌がるのだ
写真には映らなかったが
私はその友人を忘れない
何も残さなかったものが
置いていったものに憧れて
街は拡声器で喋り続けている
誰にも会いたくないと思うとき
私は会えないものに憧れている
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季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす
傘
雨が降ると天気予報で聞いた 傘を持って出かけた でも、雨はぼくが屋根の下にいる間に降って だから、ぼくは濡れた路上の上を傘を持って歩いた ビルの間から木漏れ日みたいに陽が差して ぼくの世界はまっ白になったんだ それで、ぼくは持っていた傘を開いて 歩いたんだ ...
痕跡
誰が来たのか 誰が去ったのか それはなんとなくなくなる なにがあって なにが終わったのか その痕跡すらなんとなくなくなる 私も誰かから この世界から なんとなくなくなっていく
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