2022年7月11日月曜日

のみもの

 私

飲み物が

お酒がおいしいと

幸せなの

 朝 青空があった

あなたは今日も

すべてのつまった荷を背負い

地球を感じながら

歩いているのでしょう


異国の照りつける日差し

噴き出た汗

そんなあなたを青空の中に見つけ


ぐんと

力が湧いた

2022年6月17日金曜日

 やがて無に帰るために

ある物たちに

巡り合った物たちに感謝と別れ

私は始まり

記して

詩となる


To eventually return to nothingness

To some things

Thank you and farewell to all the things we have encountered

I am the beginning

to write

I become a poem


2022年3月25日金曜日

今日も誕生日の人いるね

おめでとう

今日も大切な人が離れていくね

お互いの中で死んでいくね

さようならだね

2022年1月20日木曜日

 toshigaakete sannkagetukurai tattakigasuru oshiyoseru shigototokanshimito aseritoikarito tukiwomite shibashi tabinideru

2022年1月19日水曜日

雪の日に転倒して肋骨を折った
レントゲンを撮ると
(放射能を少し浴びて)
私の骨が写った
肉に覆われている私の骨
私は人間という構造を持つ一つの個体で
白く浮き上がった
一つの構造
そう私は一つの構造に過ぎない

2022年1月18日火曜日

2022年1月15日土曜日

 毎日、日はあけていく

代り映えのしないように思える心

身体のいたみがまして

心には虚無が広がる

標をうしなった生が

一体どこへたどりつくというのか

ひとつの言葉をこうしてはきだすことで

思い出しているのだ

私の未来を



2022年1月4日火曜日

2022年1月2日日曜日

そのイメージがあなたの中に溢れる時

唇は引き締まり端々を

何度も点検する熟練の技術者のように思える

いままで明るく軽く風になびく髪が

黒艶となり全くの別人のようにすら思える

それでもあなたはやはりあなた

イメージが去れば私の知るあなたに戻る


 飾られた君の描いた絵に日々色の差す林檎

2022年1月1日土曜日

 遠い過去からの音を消して

今、私と共に流れる時間の音を聴く

乱反射する振動の果てに

また明滅が繰り返される

2021年12月9日木曜日

 周回軌道の外側に

一羽のカナリアが

色彩の川を越えていく

ゆらめきながら

離れていく命の灯を彼らは今日も見つける

優しいコルネットの音を

思い出しながら

僕は君の手に触れた


2021年9月8日水曜日

部屋の窓から

 今日も列車がいく

座るひと、立つひと、眠るひと、景色眺めるひと

ゆられて

帰るひと、行くひと、過ごすひと、どこに行くか分からないひと

どうやって動いている?

誰が作った?

どうしてあるの?

喜ぶひとはいる?

幸せになったひとはいる?

かなしみもある?

音が聞こえる

声の聞こえる

時のあること

ただあること

2021年9月1日水曜日

街の音が聞こえて目が覚める
こうして朝を迎えること
日々世界と出会っていくこと 
それは手向けであり応答 
生者の祝いの声に 
温もりを覚えた

2021年8月28日土曜日

へたくそ

 へたくそ

生きるのから

料理から

芝居から

写真から

全部へたくそ

何かの



2021年8月20日金曜日

哀しみは夏に押し寄せて
蝉はもがいて地に溶ける
思い出を手繰り寄せ
揺れるカーテンの向こうを
カラスが通り過ぎて鳴く
明るすぎる空ばかりが
ただ変わらず悲劇の終わりを見届ける

2021年8月6日金曜日

バッテリー

 満タン

切れました

充電

満タン

切れました

充電

満タン

満タン

満タン・・・

切れました

充電

充電

充電・・・あれ

2021年7月29日木曜日

 どれだけの風が吹いて許されるのか

どれだけ遠くの街で忘れることができるのか

私は私を


愛という言葉とそのあわいのこと

君は知っている?

私は君と

私は君と


あぁ、どこか永遠の光の集まるところで

触れ合えたなら

肌と

目と

存在と

2021年7月28日水曜日

差しかかった夕暮れの街に

明日の香りがふきこんでくる

壊れかけの自転車を押して坂を上がる

峠の広場から放り投げた昨日を

空が受け止めた

2020,11.15

2021年6月29日火曜日

混沌

雨が降り通り過ぎる車がしぶきを上げている

地上10階の私の部屋にその音が響く

昼間そういえば道ゆく人の笑い声が

聞こえてくる時がある

高いところの方が音がよく聞こえるという


ここよりさらに高いところでは

ささやきのひとつも聞こえてくるのだろうか


私の心の声をとても高いところで

誰かが聞いていたりするのだろうか


ああ、この混沌とした私の声を

ああ、この混沌とした私の振る舞いを



2021年5月6日木曜日

それは失われた

通り過ぎた詩は

夜の街に満ちて

ネットに掠め取られて

断片だけがまたこうして現れて

ひたすらにつづりながら

訪ねてきた詩を探すのだ

また巡ることを私は知っている

記せるときに記すのだ

36の愛しき風景の中に

君を閉じ込めて永遠にする

流れてゆく時を止めることは

許されたポエジー

2021年4月20日火曜日

白詰草

こうしてまた光の速度で

溶け出してしまった私は

あなたの暮らす街から離れていく

朝陽が訪れるたびに

夢の香りから昨日の意味を知って

美しかったあなたが明日にもいるのかもしれないと

追いかけている

白詰草に包まれながら

どこまでここで漂う


2021年4月5日月曜日

炊かれた日々のほとりから

かじかんだ麒麟の群れが水平線を目指す


​打ち付けられた十字架の残響が

緑の丘を低く飛ぶ


​組み上げられた木材が

正方形の海に沈む


​密林の岩岩に夜光虫が、蛾が

息を潜めて訪れを待つ


​パプリカ


​鳥かごの重さを抱えながら

雨粒の軌跡をたどっていく


今朝、馬車は教会へ着いた

2021年3月22日月曜日

その光は少し前のこと

住み慣れた部屋へ

新しい傘が赤い傘がきて

そして雨が降った

日々の物語が流れ出して

羽が浮かぶ

その跡をたどって僕らは森の中へ

ざわめく木々が覆い被さる

泉へ抜けることを

知ってるフクロウがなく




2021年3月12日金曜日

 光速音速を超えて離されていく

光速音速を超えて近づいていく

記憶は失われ新しい記憶が入り込んでくる

終わりは始まり始まりは終わり

それでも留めようと留まろうと作り上げていく

静かな叫びは残り続ける

静かな光は輝き続ける

朽ちていく私の肉体に反して激しく震える魂が走り出す


2021年3月6日土曜日

アイラインを引いて誰かになる

知らない服を着て誰かになる

同じ動きを繰り返して誰かになる

息を潜めて暗闇に光の差すのを待つ

見慣れたはずの場所が遠い街の蜃気楼

彼らは別の誰かとして語りくる

ほんのわずかの時間、私は嘘になる

ほんのわずかの時間、私は誰かの真実になる

 夕暮れのもたれかかる/日に数本の路線バス/地方都市の湖畔沿いをゆく/春を待つ並木の枝が空に乞う/目的の停留所より少し前で下車する/名も知らぬ人々とすれ違う/もう会うことのない人々とすれ違う/私もまた彼らの景色//

2021年2月7日日曜日

明日、私はどこへゆく

地上から遠く離れて

いつかの君のいるところへ

風の吹くのを忘れて

光を辿って



2021年1月20日水曜日

いつ泣こうか君

 いつ泣こうか君

絶え間なく続く審判を欺いて

引きあてた幻に憂いて

君いつ泣こうか

2020年12月3日木曜日

沈みゆくもの

ふりしきる雨よりも正しいものはなく
私を保つものははかなく失われる
求めることも求められることも
怯えてしまう夜に沈んでいく
それでいいそれでいいのだ

2020年12月2日水曜日

確認

生きていることはわかっているのですがこうして深夜にひとりいると私が生きていることを確かめるひとは誰ひとりとしていないのです。私もみんなが生きていることをほんとうに知ることはないのです。あぁあなただけはそばにいて生きていることをもう少し確かめていたい。私はあなたに私が生きていることを知っていてほしい。ずっと確かめていられることのできないことは知っている。それは私たちは別の存在だから。でもだから確かめあえる

2020年12月1日火曜日

 この夕暮れ時に僕はまだどこにも行かなくていいのだ

駆り立てられて外向きでいなくていいのだ

もう少しこの日の落ちるのをみていたい

もう少しこの日の昇るのをみていたい

街の音に耳をすませたい

料理を味わっていたい

声を聴いていたい

あなたといたい

自分でにんじんをぶらさげて走り転げながらつまずいてようやく空が見えた

いつでも目覚めていたい

この世界の美しさに

私だけの記憶の中だけだとしても

私が身体が抜け殻だったとしても


2020年11月23日月曜日

 人と会うことが嬉しくて犬のように尻尾ふって漏らす

君の腰の暖かさは同じ36.5度のグラスよりもシャープ

自宅前の神社の木々がいつの間にか生い茂り

夏は過ぎ去り赤や黄色の葉になりそして風に散っていく

今年は詩人が天国にたくさん行って

向こうで好きなだけ抱き合っているんだろうな

国も肌の色も関係なくそんな理想郷を昔から夢見て

限られた命の中で果たせないままに景色に溶けた人々と


ふんだんに盛り込まれた命の種を祈りの中で芽吹かせていく

痛みを覚えるこの肉体を精神を言葉のフォルムに落とし込んで

新しい種を許されないことを夜から朝にかけて

月の光しか知ることない孤独の中で開いていく


置き去りにされた電話BOXから希望の人に電話をかけて

泣きじゃくるのは恥ずかしいことじゃない

朽ち果てていく自分を慈しいと強く思えるのはあなたとまた会えたから


私たちには続きがある

正しさと偽りによりも湧き上がる感情を放つ

空を詩で埋めつくしてバベルを築くにはまだ

優しさがたりないかもね握手をしよう拍手をしよう

この世界と君のほおに触れながら

ミリオン通り

花屋スナックレストラン
鰻屋郵便局ランドリー
いい匂いがしています

喫茶酒場雑貨屋整体院
蕎麦屋バル茶屋薬屋
食べて整えてプチテラスでひと休み

クリーニング店居酒屋公文
仲町の家弁財天の氷川神社
子どもらのはしゃぐ声が聞こえます

リビングショップバーガーショップ和菓子屋
大通り大きな空がひらけて電車が行き交います
左に進んで劇場cafeギャラリーBUoY

あぁ、この風、いつかの風と同じ気配
夏でしたか、秋でしたか、
あなたとでしたか、君とでしたか、
劇場に向かうこの通りを歩いたのは

2020年11月10日火曜日

君の喜ぶ声が雨の降りはじめみたいにやさしくびびいて

夏だったか秋のはじまりだったかポストに届いた

どこで買ったかわからないお土産みたいに

好きな人を描いた丘や浜辺を持ち歩いている



きみのこと

 きみのくちびるの

もとめるまま

はなしたらいいよ

すきなこと

きらいなこと

きみのくちびるの

もとめるまま

はなしたらいいよ

どんなだった

こどものころ

どんなだった

はつこいは

どんなだい

きみのいる季節は


2020年11月8日日曜日

ある朝のこと

昨夜の夢の続きが

現実世界の朝日に溶けて

砕かれた虹のかけらになる

錯乱した水際の白鳥たちが

終わりの季節を知って

飛び立ってゆく

塗り固められた

煉瓦造り、緑の大河へかかる

橋の上を

打ち震えた哀しみ通りぎた

ああ、

今、また

通り過ぎた

2020年11月7日土曜日

幻の夏

黄色い車に乗って君を迎えにいく

浜辺で行われるステージまで

折りたたみの手紙にぎっしりと文字があって

早く読みなよと急かしてくる

泳いだ後の帰り道

腕が触れてもう少し近くにいたいなと

僕たちは思った

言葉を君が先に捕まえて

僕は君を引き寄せた

幻の夏が永遠に近く現れた


2020年10月31日土曜日

銀色の空が窓からのぞいて

銀色の空が窓からのぞいて 
街の音が吸い込まれていく

青色の空が窓からのぞいて
哀しみが吸い込まれいく

橙色の空が窓からのぞいて
太陽が吸い込まれていく

漆黒の空が窓からのぞいて
私が吸い込まれていく

幾億年ものすべてを記憶した
空を私の生と幻が反射する

poem on chair

僕たちのいくつかの言葉について 僕たちのいつかの言葉について ここへのせる たゆたう からだの ひとつのように 椅子へ腰かける穏やかな老人のように poem on chair