私
飲み物が
お酒がおいしいと
幸せなの
今日も列車がいく
座るひと、立つひと、眠るひと、景色眺めるひと
ゆられて
帰るひと、行くひと、過ごすひと、どこに行くか分からないひと
どうやって動いている?
誰が作った?
どうしてあるの?
喜ぶひとはいる?
幸せになったひとはいる?
かなしみもある?
音が聞こえる
声の聞こえる
時のあること
ただあること
雨が降り通り過ぎる車がしぶきを上げている
地上10階の私の部屋にその音が響く
昼間そういえば道ゆく人の笑い声が
聞こえてくる時がある
高いところの方が音がよく聞こえるという
ここよりさらに高いところでは
ささやきのひとつも聞こえてくるのだろうか
私の心の声をとても高いところで
誰かが聞いていたりするのだろうか
ああ、この混沌とした私の声を
ああ、この混沌とした私の振る舞いを
こうしてまた光の速度で
溶け出してしまった私は
あなたの暮らす街から離れていく
朝陽が訪れるたびに
夢の香りから昨日の意味を知って
美しかったあなたが明日にもいるのかもしれないと
追いかけている
白詰草に包まれながら
どこまでここで漂う
生きていることはわかっているのですがこうして深夜にひとりいると私が生きていることを確かめるひとは誰ひとりとしていないのです。私もみんなが生きていることをほんとうに知ることはないのです。あぁあなただけはそばにいて生きていることをもう少し確かめていたい。私はあなたに私が生きていることを知っていてほしい。ずっと確かめていられることのできないことは知っている。それは私たちは別の存在だから。でもだから確かめあえる
人と会うことが嬉しくて犬のように尻尾ふって漏らす
君の腰の暖かさは同じ36.5度のグラスよりもシャープ
自宅前の神社の木々がいつの間にか生い茂り
夏は過ぎ去り赤や黄色の葉になりそして風に散っていく
今年は詩人が天国にたくさん行って
向こうで好きなだけ抱き合っているんだろうな
国も肌の色も関係なくそんな理想郷を昔から夢見て
限られた命の中で果たせないままに景色に溶けた人々と
ふんだんに盛り込まれた命の種を祈りの中で芽吹かせていく
痛みを覚えるこの肉体を精神を言葉のフォルムに落とし込んで
新しい種を許されないことを夜から朝にかけて
月の光しか知ることない孤独の中で開いていく
置き去りにされた電話BOXから希望の人に電話をかけて
泣きじゃくるのは恥ずかしいことじゃない
朽ち果てていく自分を慈しいと強く思えるのはあなたとまた会えたから
私たちには続きがある
正しさと偽りによりも湧き上がる感情を放つ
空を詩で埋めつくしてバベルを築くにはまだ
優しさがたりないかもね握手をしよう拍手をしよう
この世界と君のほおに触れながら
昨夜の夢の続きが
現実世界の朝日に溶けて
砕かれた虹のかけらになる
錯乱した水際の白鳥たちが
終わりの季節を知って
飛び立ってゆく
塗り固められた
煉瓦造り、緑の大河へかかる
橋の上を
打ち震えた哀しみ通りぎた
ああ、
今、また
通り過ぎた
黄色い車に乗って君を迎えにいく
浜辺で行われるステージまで
折りたたみの手紙にぎっしりと文字があって
早く読みなよと急かしてくる
泳いだ後の帰り道
腕が触れてもう少し近くにいたいなと
僕たちは思った
言葉を君が先に捕まえて
僕は君を引き寄せた
幻の夏が永遠に近く現れた
僕たちのいくつかの言葉について 僕たちのいつかの言葉について ここへのせる たゆたう からだの ひとつのように 椅子へ腰かける穏やかな老人のように poem on chair