2012年2月29日水曜日

不審なもの

音を立ててる乗客がいる
揺れるたび車内を行ったり来たり
誰もが見て見ぬ
聞いて聞かぬ
思って言わぬ動かぬ乗客

アナウンスは言っている
不審なものを見かけたら直ちに
駅員にお知らせください

俺は音を立てている乗客を捕まえた
飲み干されたそいつは自分ではどうにも
出来なかっただけだ pokka
不審なものは
それを知っていても関わらぬ乗客

俺は駅員に申し立てたが
不審がられたのは俺だった

2012年2月28日火曜日

履歴書

名前 生まれた日 住んでるところ
連絡先 学歴 趣味特技
何しにきたか
履歴書に書けることは少ない
何を目指しているか
重要なことは何も見えない

くだらない人生送って来たやつは天使かもしれない
まともな人生送って来たやつは 悪魔かもしれない
履歴書は屑籠にいれて
詩の話ができるか
好きな女のどこがいいか語れるか
それだけわかればいい

見ればわかる
一緒にやれるか
試験官を
俺がテストしてるんだ

2012年2月27日月曜日

運命論

どんな道を歩いても 僕はあなたに出会ったろう そして、愛しただろう

2012年2月26日日曜日

点と点

ひとつの終わりはひとつ始まり。 道はそれぞれに続いて行くのです。

2012年2月25日土曜日

笑ったっていいさ

冷たい雨
ぼくらはあたたかいからわかる

汗が出る
ぼくらは血が流れているからわかる

心が痛い
ぼくらは恋をするからわかる

叫んだっていいさ
泣いたっていいさ
ぼくらは息をしているから

笑ったっていいさ
ぼくらは哀しい日を忘れないから


2012年2月24日金曜日

はちみつ

この詩は
琥珀色のはちみつのように
誰かを歩ませるものでありたい

この詩は
ほほえましく薫るはちみつのように
あなたを舞わせるものでありたい

ペロリとしたら

2012年2月23日木曜日

プロパガンダ

その目が開くとき
私は流れ出す
その時間は
その時であり
その時でない
氷の溶け出すように
無意識がペンに流れ出す
私の体が記憶し
あふれだしたもののひとつの
形跡が文字となり
つらなりはじめる

私は身をゆだねる
私は指をゆだねる
必要なものと対話する
世界と対話する

生きること、まず
私は生きること
愛すること、まず
私は愛すること
働くこと、まず
私は働くこと

私は、読むこと、まず
読むこと
過去に流れる
雪山に積もる氷が
溶け出した記憶を
宙に流れる意識の粒子を
宙に溶け出した正しき
法則の一筋の光に似た
流れをたどること
たどること
文字に現れた
蝋のとける灯のうちに
たどること

無作為に選択されたように見える
周囲の音をたどり
道筋をみつけよ
発せよ
記せよ
この記したことは
記した以上に含まれる
それは岩石が
その蓄積の中で表出した
存在と同じように

私の中、いな
私を通じて存在したがっている
その断片を
呼吸とともに
私の呼吸とともに存在させよ

明けていく
明けていく
世界が新世界に向けて
明けていく

ああ、私は欲する
ああ、私は拒絶する
粒子となり、細分化された
現象を拒絶
ただ、無

空、の中に漂う
遠い地の息
遠い時の鼓動を受け入れる
同時にそれは起こっている
私の身に起こっている
この現象は
同時並行的に起こっている

私よ、私よ、共につくろう
再構築の時は来ている
私よ、私でない私よ
共鳴の文字を記せ
記せ 記せ

それは現れたもの以上に
含まれている
これらの文字の一つ一つが
現れているもの(現象)以上に
含まれていることを正しく
確認する

さて、問いだ
どうするのだ
どうするのだ
まず、生きよ
        生きよ 
       つづれ
       つづれ
現れている 
すでにそれは
現れている
具体はいらない
溶け込ませるのだ
世界に

すでに私は試みた
発することで
溶け込ませる方法を
その存在は
たしかに広がりゆくのだ

記せばいい
詩人は記せばいい
世界にとけだすのだ

自分から
そして愛するものから
とけこませるのだ
それが世界を変質させる

再構築は
これよりはじまる
新世界は
これよりはじまる

はじまっている

私よ、私以外の私よ
共鳴により 記し 始まりをしめせ

2012年2月22日水曜日

沈黙の鈍器


街ではいつくばって進むホームレスの老人がいた

大丈夫ですか?
大丈夫だ。

強烈な異臭は死臭を想わせた
もう何かが死んでいた

私はその場を立ち去った

罪を私は犯したのだろうか
私は殺したのだろうか

はいつくばって進むホームレスの老人を
沈黙の鈍器で

白々とした街灯が眩しい


2012年2月21日火曜日

悪夢

繰り返される生と死の狭間で
意味や意義を感じられず
行為だけが望むことなく
何者かによって
同じく何者かによって 動かされている者たちと
争っている
並んでいる
ただ並んでいる

2012年2月20日月曜日

場所

誰もいなくても
何かがいる

誰もいなくても
何かがいた

誰もいなくても
何かがくる

ピンで止められたように
その場所に行くことは

たとえば北欧の木目
たとえば流れる陽光
たとえばさらされた鉄

その場所に行くことは
その場所に含まれること

2012年2月19日日曜日

盲導犬

ある日の車内
伏せて周囲をうかがい
黒く光る鼻をひくひく
薄茶色の大きな犬

大声でギャンブル話する客
はしゃぐ子ども
触ろうとする老女に
たじろぎもせず
傍らに立つ主人に沿う
 
幼犬の頃走り回った山々
母犬のぬくもりの中で
兄弟と乳を分け合ったこと
流れる車窓に見ているのか

見つめる男が
自分の佇まいに胸を熱くしているのを
知りもせず

2012年2月18日土曜日

ベビーカー

用意された快適な椅子で
都合のいい時に眠り
不満があれば泣き叫ぶ
そして景色が与えられる

立ち上がり歩いて
景色を選べるのに
押されるがままいつまでも
王様気分でベビーカー

2012年2月17日金曜日

初詣

日陰は風が吹くと寒くて
凍える君の腕さすった
その細い腕さすった
君に触れたの二度目

甘酒すぐに飲み干して
冬空見てる君何想う
賽銭投げて手を合す君何想う
君に見とれたの何度目か忘れた

ああ、もう何日もたっていないのに
ああ、もう何日もたったきがする

2012年2月16日木曜日

メランコリック


電車でどこまでも行って
少し眠ったら知らない景色
そこで降りていいにおいのする方へ
ああ、海ですね
ああ、海へ来たんですね
メランコリックブルー

波打ち際に貝殻見つけた
水平線にカラフルコンテナ
風が吹いて夜空に月の船
ああ、銀河ですね
ああ、銀河を行くんですね
メランコリックシルバー

王子様の星でバラに挨拶
石炭袋とおりすぎて
サラサラな音と溶け合いながら
ああ、蝶ですね
ああ、蝶になるんですね
メランコリックレインボー



2012年2月15日水曜日

ヒゲ

僕の身体的あるいは
精神的的成長は
すっかり止まっているというのに
ヒゲだけは 3日もたたぬうちにうっそうと茂る
このエネルギーが少しでも 身体に行かぬものか
次世代クリーンエネルギーにならぬものか

2012年2月14日火曜日

新世界

冬、雨降って寒く
夜、暗い空広がり
朝、香り交わり
道、行く人の影に
花、その茎のたわみに
君、浮き上がる

2012年2月13日月曜日

朝蜘蛛

朝、天井から下りる小さな白い蜘蛛をみつけた。
朝蜘蛛は殺すな、訪ね人の予兆であると、どこかで聞いた。
私がみつめているのに気がついたのか、小さな白い朝蜘蛛は風景に溶け込むようにじっとしていた。 それは誰かに似ていたが、うまく思い出すことが出来なかった。

2012年2月12日日曜日

thunder in spring

When hearing thunder in spring and spring
I will remember one woman's left breast.
Making it such, the world swells and dies.

春、春雷を聴く時
私は1人の女の左胸を思い出すだろう
そのようにして世界は膨らんで ゆく

2012年2月11日土曜日

2012年2月10日金曜日

蒼氓

春の香り訪れ
君の声さざ波
空の泉 梯子雲
桃色 蓮の池
あいしいきし
うたかたの砂

2012年2月9日木曜日

君は誰だ

立ちつくす警官
原発20キロ地点 封鎖地点
君にも名前あるだろ
君にも親があるだろ
君にも好きな人あるだろ

大丈夫か?君、大丈夫か?
降ってるぜ放射能
降ってるぜ放射能
大丈夫か?君、大丈夫か?

僕を止める
僕の名前を聞く君は誰だ
警官 警官 自衛隊員 自衛隊員
君は誰だ 君の名前は 何だ?
君、大丈夫か?

2012年2月8日水曜日

嘔吐

いろんなとき
いろんなところで
いろんなかたちで
飲み込んで
ためてこんでいた
愛を嘔吐しそうで
胸が焼ける

2012年2月7日火曜日

雨は止みました

雨は止みました
空が落ちています

雨は止みました
夜が降り始めました

雨は止みました
樹脂がそそがれています

2012年2月6日月曜日

ME MO MA U ME SA O

A RU I TE TU KA MA NA KU TE HA
A RU I TE KA N GA E NA KU TE HA
HA DA KA NO KO KO RO
KO U HE I NA ME SE N
HO HO E MI I KO U 
MU GE N NO SE KA I 
HI TO RI DE MO
HI TO RI DE NI NE MO

2012年2月5日日曜日

The big fishhook

The big fishhook DAG thrown from Canada 
The scene of Japan has been fished and it goes back. 

Autumn
It is thrown from Canada.
The big fishhook DAG
The Japanese woman has been decoyed and it is cooking. 
Let's meet in the future

2012年2月4日土曜日

誰か

満員電車の中
見知らぬ女の子が
私の服の袖を掴んでいる
立っていられない女の子は
私にもたれかかってくる
電車が大きく揺れて
柔らかな女の子の手が
私の手に触れた

手が指を探った
私は財布を気にした

手は手を握った

新宿から中野の一駅
私は私ではない誰かだった

2012年2月3日金曜日

美人日和

緩やかにその日はあけた 
携帯に美人からメッセージが
昼時、美人から電話が
ブログに美人からコメントが
映画の中で美人が
好きな喫茶店に美人のウェイトレスが
仕事場で美人姉妹が
帰りの電車で隣に美人が
眠ったあと夢の中で美人が 

美人が 来ている、かかってくる、つく、
囁いている、働いている、 過ごしていく、
座る、追ってくる

美人に触れることはなかった
それは太陽
ひとつの死を含んでいる

翌朝 私は一枚の絵を描いた
美人は凛と微笑んでいる

2012年2月2日木曜日

長ネギ

とびだしたそいつは
運ばれている
籠バック
トートバック
買い物袋
リュック
カート

おさまりきらないで
周囲を見回す潜望鏡
運ぶ人はみな
それでも
はみだしたそいつを許して
しあわせそうである

l今夜は鍋

2012年2月1日水曜日

それは隠している

僕はスヌーピーを隠している
スヌーピーは朝食を隠している
朝食は深夜の営みを隠している
深夜の営みは下着を隠している
下着はカイコを隠している
カイコは就職を隠している
就職は大工を隠している
大工は家を隠している
家は涙を隠している
涙は海を隠している
海はマグマを隠している
マグマは星のかけらを隠している
星のかけらは王子様を隠している
王子様は友達を隠している
友達は笑顔を隠している
笑顔は悲しみを隠している
悲しみはウイスキーを隠している
ウイスキーは泥炭を隠している
泥炭は蠅を隠している
蠅は山寺を隠している
山寺は仏像を隠している
仏像は宇宙を隠している
宇宙は真理を隠している
真理はスヌーピーを隠している
スヌーピーは僕を・・・

(隠しているものは現れている)

季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす