他のネタはそのネタの名前で呼ばれるがカッパ巻きは物語を内包している
今日も列車がいく
座るひと、立つひと、眠るひと、景色眺めるひと
ゆられて
帰るひと、行くひと、過ごすひと、どこに行くか分からないひと
どうやって動いている?
誰が作った?
どうしてあるの?
喜ぶひとはいる?
幸せになったひとはいる?
かなしみもある?
音が聞こえる
声の聞こえる
時のあること
ただあること
雨が降り通り過ぎる車がしぶきを上げている
地上10階の私の部屋にその音が響く
昼間そういえば道ゆく人の笑い声が
聞こえてくる時がある
高いところの方が音がよく聞こえるという
ここよりさらに高いところでは
ささやきのひとつも聞こえてくるのだろうか
私の心の声をとても高いところで
誰かが聞いていたりするのだろうか
ああ、この混沌とした私の声を
ああ、この混沌とした私の振る舞いを
こうしてまた光の速度で
溶け出してしまった私は
あなたの暮らす街から離れていく
朝陽が訪れるたびに
夢の香りから昨日の意味を知って
美しかったあなたが明日にもいるのかもしれないと
追いかけている
白詰草に包まれながら
どこまでここで漂う
季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす