2008年10月30日木曜日

夕焼け

桃色の手を振る夕焼けが
あまりにもやさしすぎて
あまりにもやわらかすぎて
耐えられない

2008年10月29日水曜日

あたたかい

あたたかい
とてもあたたかい

きたがぜふいて
いきがしろくても

あたたかい
とてもあたたかいです

ずぼんにあながあいて
いろんなひとにおこられても

あなたにあえるとおもうだけで
とてもあたたかいです

あなたは はね

政治

手紙が来た
電話が来た
のぼりがたって
電柱に張り紙

駅前で
スーパーの売り子と並んで
叫んでる
どうやら政治もセール中らしい

2008年10月28日火曜日

母校

せせらぎが
光の砂をまく橋を越え
母校へ向かう道すがら
若き芽の笑い声に
記憶がくすぐられ
思い出が押し寄せる
教える人が頭を垂れたが
まだまだと思わず早足となる

2008年10月27日月曜日

AB'ACCHIO

高円寺北口
青果店脇路地
庚申通り商店街
吉野蜂蜜店まではいかない
自転車修理屋
あかね通り
焼き貝屋あぶさん
の先
AB'ACCHIO

迷った言葉と
言葉を探している人が
引き逢わされ
寄り添い旅立つところ
AB'ACCHIO

祝辞

今あなたたち二人は
両親親族、多くの友人たちに囲まれ
とても幸せな時間を受け取っています。

そして明日からはさらに
幸せな日々を受け取るでしょう

あなたたちはもう孤独ではないのですから
弱さを見せ合い未来を築く伴侶を
この広い世界でめぐり合ったのですから。

出来の悪い息子が自立しないかもしれません
借金に苦しむかもしれません
互いのやさしさが空回りするかもしれません
病にかかるかもしれません
嫌なことばかりが目に付くかもしれません
分かれて住むかもしれません

ただあなたたちは
この子の幸福な瞬間を受け取った代償として

互いの幸福だけは願わなければなりません。

それが契約です。

お互いの悲しい顔をみたら
それを思い出してください

ふたりとも笑顔がすてきですから

気持ち

会いたいけれど
会いたくない

わかりますか?
この気持ち

会いたいけれど
会いたくない

この気持ち
わかりますか?

誰?

あなたに会うたび
胸は高鳴り

あなたを捕らえようと
詩が生まれる

あなたは誰?

美しさを纏う
あなたは誰?

希望

希望はパンドラの箱の底に
唯一飛び出さず残っていたものだそう

パンドラの箱に入っていたのは
世界に存在しなかった罪悪

希望はパンドラの箱につめられた
最初の罪悪だったのかもしれない

一番深いところですでに
飛び出すことも出来なくらい長い時間いたのだから

いや、待てよ箱の底に長い時間入って
醗酵して希望になったのかもしれない

もとは絶望で最初に入ったのだが
そのあとさまざまな罪と悪に押しつぶされて希望になった

望むから罪が引き起こされる
望むから悪が引き起こされる
望みを絶っている私はここにいなくてもいい

それで絶望は希望になったのかもしれない。



いや、
いや、ちがう

箱の中には何もなかった
箱の中には何もなかった

箱が希望だったのだ。

再び世の中の悪を入れること出来るもの
それは最後に残った希望の箱だったのだ

結婚したい女

結婚したい女が3人いる
一目あって結婚したいと思った女と
一目あってこんなに美しい人がいるのかと思った女と
まだ見ぬ女だ

結婚したい女のことを考えていると仕合わせである
やさしい気持ちになり
今の自分より誇らしい自分でいたいと思うのだ
昨日の自分より少しでもよく生きていたいと思うのだ

その3人の女の誰とも結婚できなくとも
その3人の女の生きていること
その3人の女の存在していること
その3人の女に会えたこと
(まだ 1人には 会ってはいないのだが)
その3人の女に僕は

深く感謝するのだ
ありがとう ありがとう ありがとう

*この作品は5年前に制作されました。今はあなただけです。

未来へ

明日こそ
世界に愛の風が吹き

明日こそ
世界から武器がなくなり

明日こそ
世界に生まれる感情が喜びであり

明日こそ
人々が手を取り合い
そのぬくもりを抱きしめられる世界である

ために

武器を捨て
手を取り合い
そのぬくもりの帆を

空と海と大地と
雨と風と花と
星と月と太陽と
あなたと私の間に

立ち上げ

木々でさえずる
鳥の鳴き声のように

岸辺に打ち寄せる
椰子の果汁の甘さのように

三軒先で焼いている
秋刀魚の匂いのように

体を流れる
受け継がれた夢の記憶のように

やわらかに示し

マチュピチュの岩のように
朽ちることなく

モアイの目のように
ひょうきんに

大空に浮かぶ
無数の雲のように自由に

極地に咲く
忘れ名草のように確かに

強く張り

開かれてゆく
一瞬一瞬の清廉なる魂の船
地球を

今こそ生きる僕らが
その命で
凛として回すのだ

ガリリと

鎮魂の沈黙のあと
希望のドラを高々と打ち鳴らして


未来へ

君へ

君は意地悪だ
笑いかけてくれないし
態度がそっけない
話を聞いてないし
どっかに遊びに行っちゃうし
電話にも出ないし
メールもくれない

それでも
君の事を思うと
やさしいきもちになるんだ
暖かな血が体を流れるんだ

君に会うときの僕は
まるで作りかけの石像みたい
君に会うときの僕は
まるで弦のないギターみたい
君に会うときの僕は
まるで白紙の本みたい


ああ、僕もずいぶん意地悪だ

それでも

それだからこそ
君が好きだと言えるんだ

君がどこかに元気でいることを
感じられるだけで僕は幸せなんだ
君の事を思いながら歩いていると
世界が輝き
開くべきドアが見えてくる

愛をありがとう

僕に命をありがとう


次、会うときは
せめて石像の手のひらを

次、会うときは
せめて弦から飛び出たおたまじゃくしを

次、会うときは
せめて微笑む一輪の花と一緒に
一編の詩を贈りたい

意地悪な僕から意地悪な君へ

満月

月はいつでも
そこにあるのさ
まんまるで

三日月の日も
曇りの日も
寂しい夜も

歩いてみて
雲を越えてみて
目を閉じてみて

月はいつでも
そこにあるのさ
まんまるに

月はいつでも
そこにのさ
愛みたいにさ

黄昏だからといって
泣かないで

雨降りだからといって
泣かないで

青空だからといって
泣かないで

手でもつなぐ?

ほら、虹だよ

2008年10月17日金曜日


昨日の空と今日の空は違う
今日の空と明日の空も違う
でも
昨日の空と明日の空はつながっている。
明後日の空とおとといの空もつながっている。

ロンドンの空とアフリカの空は違う
蜜蜂の見上げる空とバオバブの見上げる空は違う
でも
北極の空と南極の空はつながっている。
ペンギンの見上げる空とイグアナの見上げる空もつながっている。

だから
100万年前のアンデスに咲く花の見上げた空と
100万年後のエジプトのネコが見上げる空はつながっている
ように
あなたの空と僕の空もつながっている。
のだ。


雪が降る 柔らかに雪が降る 昼も夜もこの街に 雪が降る 足跡が道についている 誰かが歩いた跡 私も歩く 雪の中を 優しい雪の中を