2011年6月9日木曜日

やさしい幻

食べるものの
飲むものも
目に見えない病に侵されて
生きてくことを閉ざされている

外を歩くことも
語ることも
止められた世界のなかで
死ぬことを罪とする

空を消したのはなに
山を埋めたのはなに
海を怒らせたのはなに

耐える人々は震えて祈る
愛することさえ哀しみに飲み込まれ
寄り添うことさえ疑いに喰われていく

幻を信じることでしか生きられないのなら
やさしい幻を信じたい
幻の中から作り出された
やさしい幻を信じたい

スタイル

花には花
コーヒーカップには
コーヒーカップ
森には森
あがた森魚にはあがた森魚
僕には僕
その文字、音、色、におい
世界にはスタイルがある
生きるための
活かされるためのスタイルがある

2011年6月5日日曜日

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震えてもないのに
震えた気がする
あなたからではないかと
震えていたのは私

うらない

くる
こない
くる
こない

花を一輪つんで マーガレットだったか
白い花
はなびら 一枚 一枚 ちぎったよ
           幼い頃

今も僕は幼いまま

はなびらのかわりに 一文字 一文字 綴って

キ(くる)
ミ(こない)
ハ(くる)

ク(こない)
ル(くる)
カ(こない)
ナ(くる)

コ(こない)
ナ(くる)
イ(こない)
カ(くる)
ナ(こない・・・

こらぁ!

季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす