2012年8月31日金曜日

宿題

8月の最後の日
宿題に取りかかる小学生のように
地球をむしばむものや
境目をつくりあげることや
巣食う憎しみや虚無
愛の宿題に
人類の一部は取り組み始めた

間に合うかしらない
この宿題を解く鍵は
一瞬にある
その一瞬を
体験することにある
間に合うかしらない
人類の一部は取り組み始めていない

どちらもすぐそこにある

2012年8月30日木曜日

2012年8月29日水曜日

それは意味を埋めて
あたたかにそそがれた
みえないもののほぼすべては
みえるものすべてに印されている

2012年8月28日火曜日

穴に見せられて
無量大数のおたまじゃくしが
悶死した
我々は生存を主張する

2012年8月27日月曜日

美酒

果実が樽に集められ
時の雫が滴り落ちる

寝かせて寝かせて

そしてある朝満ち足りて
極上の美酒となる

それは恋に似ている

2012年8月24日金曜日

大丈夫…


侮辱されたとき
へらへら笑って
大丈夫。大丈夫。

金属バットで後頭部叩きまわして飛び出た脳髄踏み潰して内臓抉り出してとぼけた口にねじ込んでプランクトンの餌にする。

大丈夫。大丈夫。

プランクトンをクジラが飲み込み太平洋のど真ん中で潮吹きプー虹の輪の中をカモメがすいすい。

大丈夫。大丈夫。
大丈夫。大丈夫。

…汗がふきだす




2012年8月23日木曜日

自分の味

自分の味はどんな味
腕にかぶりついてもわからない

かぼちゃ 大根 
菜 きゅうり

自分の味はどんな味
誰かかぶりついて教えてよ

牛肉 豚肉
マグロ 鰯

スパイスみたいに
誰かのそばで味が出るのかも

塩 胡椒 
パクチー とんがらし

自分の味はどんな味
誰かかぶりついて教えてよ
誰か一緒にいて教えてよ

2012年8月22日水曜日

すべてのものは

すべてのものはなるように

すべてのものはなり

すべてのものはなくなるように

すべてのものはなくなる

2012年8月21日火曜日

残暑

唐突に景色は失われ
孤独の河へと消える
そのような残像が
そのような残響が
塹壕に潜んでいる
そしてあちこちから
たまらず噴き出している

2012年8月20日月曜日

すすむ

負けた
敗れた
折れた
失った
こぼれた
落ちた
なくした
足りなかった
及ばなかった
届かなかった
散った

だから生きてる
すすむ

2012年8月19日日曜日

2012年8月18日土曜日

5%5

っぱなしの
壁に
うちかけ
耳にネジかけ
額縁の残像
遺伝スライス
スススラビリンスライス
皿に陳列
埃にまみれ
八重歯に咳き込み
水たまり天窓
祝詞悲鳴嘔吐
大きすぎた
空間序説
アングロサクソン
盲い唖
芳一
並行移動
いど
うち

2012年8月17日金曜日

夢の中で

実際に会った事のない人と
夢の中で会う

話しかけると
二度目ですね
という

私は確かにその人に会うのは
二度目だと実感し
一度目に会ったときの事を
思い出していた

夢の中だけに存在する
記憶や経験ー
そういったものはあるのだろうか?

その人は実在し
私の事などまったく知らないだろう

その人は昨夜
どんな夢を見たのだろうか?

私と会っていた夢を
見ていたなどということが
あるのだろうか?

夢の中で私の実感した
一度目にあった記憶
それは一体なんなのだろうか

その人ととは
元AKBの指原莉乃だ

その人ととは
二度寝た

2012年8月16日木曜日

8月のソネット

うろこ雲ざわめき
たたえた噴水の泉に
サンダルを揃えた
晩夏の踊り子

途切れ途切れの
記憶の隙間に
8分19秒前に贈られた
硝子越しの呼吸

ほおづえの先に
秋の気配たずね
待ちこがれる風に
山茶花みつめる

コオロギの鳴き出す夕べ
たおやかな釣床の夢

2012年8月15日水曜日

報導

昔の本を読んでいると
忘れられた言葉をみつける

報導という言葉がある
道でなく導く

当時戦争を煽るメディアの
現実を現した言葉

今では当たり前すぎて
使われなくなった

終戦はまったくしていない
今日はよく報導されていた

2012年8月14日火曜日

何度でも

夕焼けに会えない人もいます
あなたに会えない人もいます
会えたのなら
夕焼けの詩を何度でも
心震えたのなら
あなたの詩を何度でも
何度でも
何度でも…

2012年8月13日月曜日

話す


髭面の外見からは
とびきりの情熱はみえない

ぼんやりとした外見からは
鋼の意思はみえない

出会って話して微笑んで
はじめてわかる素晴らしさ
その人の素晴らしさ
人の素晴らしさ

物事をはかるためや
危険を伝えるためより
人の中に輝く精神に
触れるために
人は出会い
人は話す

2012年8月12日日曜日

たたずみ

ある景色 たたずんだ
ある景色に たたずんだ

人が 鳥が 森が
時を忘れ たたずんだ

みあげた空に 星
すませた風に 声
みつめた花に 命

時もたたずみ
営みのつむぐ
言葉に音に
ゆられてる



2012年8月11日土曜日

墓参り

ポツポツと魂がふる
ポツポツと魂がかえる

供える花はあざやかに とんぼが飛ぶ
墓石に水をかけてしみわたる
蝉時雨の中 煙が昇る

ポツポツと人が通り
ポツポツと人がゆく

先人あればこそ
手のひらに米がのり

先人あればこそ
命 地へ伸び 空へ伸びる

ポツポツと魂がふる
ポツポツと魂がかえる

2012年8月10日金曜日

なじむ

怖い絵をみた
こちらをのぞいて
いざなうガイコツ

怖い絵を再びみた
目を合わせずいたら
背中をみていた

怖い絵を横からみた
怖い絵は鏡に映る
自分を眺めていた

怖い絵をもう一度みた
陽光のなかで
僕を待っていた

怖い絵に会いにいったら
怖い絵ははずされていた

怖い絵のはずされた
壁をのぞいて
怖い絵になじんだ


2012年8月9日木曜日

エーエンJAZZ

魂の震え
口からもれて
金の管くぐり
金の輪へ広がる
白黒レンガを走り抜け
弦を縫って月をくすぐり
喜び哀しみむせかえる
夜の街に沁みて
地下の小屋に音共
満ちて響いて揺れる

エンジョイ
ジョイン
ジョイ
JAZZ
エーエンJAZZ

エンジョイ
ジョイン
ジョイ
JAZZ
エーエンJAZZ

2012年8月7日火曜日

簡単なこと

簡単なことです
私が好きな人には
私より好きな人が
私には私を好きな人より
好きな人がいる

喜びの涙は右目から
哀しみの涙は左目から

流しましょう
あるいは
眺めましょう

2012年8月6日月曜日

いのりのうた

ひとつのひらめき
空の上できらめき
無限の街が
光の中で燃えて
未来が消えた

いつか

ひとつのひらめき
人の中できらめき
無限の花が
光の中で萌えて
未来が育つ

ように


2012年8月5日日曜日

カーラジオからオリンピック

丘を越えて現れたのは
遥かなる水平線

窓ガラスを開ければ
潮の薫り肌を撫ぜる

カーラジオからオリンピック
雲を捉えようと
なびくのびた青草

夏を越えて現れたのは
恋と愛の境界線
唇を閉じれば
ふたりのしじま心撫ぜる

カーラジオからオリンピック
君を捉えようと
ながくのびた恋歌

ここは海?それとも陸?
浜辺の波があいまいにきえる

カーラジオからオリンピック
時を捉えようと
ふたりラジオとめて
ふたり息をとめて
口づけ

2012年8月4日土曜日

もげる

曖するがゆえ

羽がもげる
髪がもげる
肉がもげる
陰がもげる

上腕骨がもげる
大腿骨がもげる
肋骨がもげる
頭蓋骨がもげる

曖するがゆえ
存在がもげる

もげるがもげて
慾望が漂う

2012年8月3日金曜日

遠吠え

夜空に金貨が落ちている
雲が隠し
鳥が隠す

手に入れようと
人は
こぞって飛んだ

金貨は石コロだった


石コロから見上げた空に
碧玉が落ちていた

叡智が隠し
いたわりが隠す

手に入れようと
人は
こぞって飛んだ

碧玉は石コロになった


遠吠が聴こえる

2012年8月2日木曜日

ひとは


地と ひと葉 舞う
血と 人は 舞う


地で ひと葉 朽ちる
血で 人は 朽ちる


地に ひと葉 染みる
血に 人は 染みる


ちが ひとは めぶく
ちが ひとが めぶく
ちへ ひとへ めぶく

2012年8月1日水曜日

そういう日

選んだことが
選んでいることが
正しいのか
誤りなのか
わからなくなる

ただ心を開いて
ただ心を聞いて
ただ心に従いたい

そのなんと
心の固さよ
そのなんと
心の騒がしさよ
そのなんと
心の望む道の
険しさよ

どんなに世界が美しくても
哀しくてしかたのない日もある




季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす