2014年5月31日土曜日

変態

見つめられているまなざしに
答えられずに時は過ぎゆき
朝陽の中に身をさらして
紫の空を見上げている
毛虫

意味を求めては砂漠を
ただ一人で行く
進んで行かなくては行けない
置いて行かなくてはならない
孤独に

胸を割いて白い幼体が露わになる
風は痛みをともない突き刺さり
流れ出す血のしぶきが肌を伝う
抱えられるものは何もない
命の他は

そうなってしまったのだ
望んだのは忘れてしまったほどの

現れてしまったまなざしが
見つめている
朝に

2014年5月29日木曜日

労働について

昔、朝まで飲んだ女
から連絡がきた
仕事の話だった
が、近状報告
になる、
結婚して子供生まれたのよ、かわいくてメロメロよ


あの朝にホテル代があれば
2人の顔を見ることが出来たのかもしれない


労働について

2014年5月18日日曜日

皺だらけのロックスター

皺だらけのロックスターは
少年を目指して今日も唄う
歩いてきた道の景色をもう一度みたくて
憧れの場所にたどり着きたくて

言いたくなかったこと
笑ってぶちまけてみたり
みたくはなかったこと
繋いでつくろって万華鏡

それでも愛だけは同じだったよ
唄うたびに消したいくらいだったけど
それでも愛だけは同じだったよ
かき鳴るギター、弦がはじけて、かすれ声

それでも愛だけは同じだったよ
それでも愛だけは同じだったよ

2014年5月17日土曜日

無題


・・・私はもうかなしいくらい
眠ることが出来ない

眠りにつく時の
夢とうつつの合間の桃源郷で
ひきょうものにはなりたくなくて
愛に至りたくて
その時わたしは
沈黙した・・・


2014年5月15日木曜日

2014年5月11日日曜日

ルール

あふれでる顔、顔、顔
どこに向かおうというのか
わかりもしないままに
大河のように進んで行く

あふれでる血、血、血
私の指先から落ちてゆく
赤黒いひとしずく
沼のように溜まってゆく

だれも触れられぬルールがある
が、そこに愛を見るとき
が、そこに生をみるとき
意味を変えて鎖を砕く
ことが変わる言葉がある



2014年5月10日土曜日

帽子 鏡 赤ちゃん

春先、新しく服を買う
服ばかり立派で薄っぺらい顔が
貧相に思えた

思いついて普段かぶらない
帽子を選んでみることにする

なじまず何度もをみては
とっかえひっかえ

心にイメージがないのだ
どの帽子にどの服か
選んでみて初めてわかるのだ

赤ちゃんが口の中に何でもいれて
確かめようとするのに似ている

口の中の方がものごとの本質というのは
よく確かめられるのかもしれない

帽子のツバ噛みついていたら
店の人に止められた


*この作品はタイトルの、その時目の前にあった
 三つの言葉から5分以内で即興で作ったものです。
 (清書の際多少整えています)
 朗読ではなくてまだ書きつけるのが精一杯です。実験として。


2014年5月9日金曜日

歩いているとき

歩いているとき
どこのみちでも
どこかを歩いてる
きみと歩いてる

歩いているとき
道端に白い花
どこかで見てる
きみも見ている

歩いているとき
足のうらは
ぽくぽくと笑う
きみも笑う

歩いているとき
教えてくれたから
あぁ、詩神【ミューズ】
きみと歩いてる

2014年5月7日水曜日

いのちふたつ

いのちふたつ
わたしのおなかに
もうひとついのち

きみがたべたいものなに?
きみがいきたいとこどこ?

わたしはわたしだけじゃないよ
わたしはきみといっしょ

いのちふたつ
わたしのおなかに
もうひとついのち

いろんなひといますよ
いろんなことありますよ

それでもね、もうすぐな
きみといっしょにくらしてく

いのちふたつ
わたしのおなかに
もうひとついのち




にわとり

にわとり鳴いて
卵うまれた
いい日だって
悪い日だって
朝が来れば
にわとりが鳴いて
卵がうまれる
それでいいだろ
そのために神様は
太陽と月を作ったんだろ
明るすぎると
女のあんよも
ハムみたいにみえちまう
太陽沈んで
月が昇ってはじめて
世界は美しく見える
昼間だけの世界なんてまっぴらさ
もぞもぞやって
にわとりがないて
卵がうまれる

どうだい、気にってくれるかい

おすすめは何かと彼女の両親に聞かれたよ
金はなし、仕事なし、年もとりすぎた
おすすめは彼女が俺を気に入ってるってことだけ
どうだい、新しいとうちゃん、かあちゃん
俺を気に入ってくれるかい

なにが出来るんだって就職試験で聞かれたよ
パワポは出来ない、MBAの資格もない、前の会社はクビだった
出来るのは這ってでも来るよ。ハッピーに毎日出勤するよ。
どうだい、新しいBOSS、フレンドたち
俺を気に入ってくれるかい
 

朝陽に泳ぐ

溶け込むために朝日に向かって泳ぐんだ
見知らぬ場所に生きてくこと決めて
吐きそうな、泣きそうなのこらえて笑うんだよ
どこが僕の生きる場所
どこが僕の居場所
わからないままに放り出された空の下
人混みの中で息継ぎしながら泳ぐんだ
溢れるものの中で息継ぎしながら泳ぐんだ

2014年5月4日日曜日

都会の狼

都会でいきてきた狼たちは
いつしかキバを落とした
やわらかいものしか食えない
キレイなものしか食えない

森にいたころ狼たちは
泥まみれの肉だって
かぶりついたのに今じゃ
スカスカのニクばかり

キバのない狼たちは
落としたキバを忘れて
味も臭いもしないニク
飢えて飢えてむさぼる

恐れ恐れ満ちたくて
飢えて飢えてむさぼる

弱い光

金を大量に稼ぐビジネスマンに囲まれると
どうしてこうも自分の喜びが
薄っぺらいものに思うのか

数字や数値に変換される世界では
誰かと景色をつくることは
悲しいくらい弱い光

Say Hello Love

遠い未来薫るだけ
君が触れる
季節が巡る

雲が胸に漂うだけ
君に触れる
針がとまる

Say Hello Love
Say Hello Love

昨日も 明日も すっとんで
君を見つめる今があるだけ

Say Hello Love
Say Hello Love

雪が降る 柔らかに雪が降る 昼も夜もこの街に 雪が降る 足跡が道についている 誰かが歩いた跡 私も歩く 雪の中を 優しい雪の中を